「世界のエリートがやっている最高の休息法」を試す
科学研究の成果を引用しつつ,マインドフルネスについてストーリー仕立てで解説している.まずはマインドフルネス呼吸とムーブメント瞑想から.「いま」「ここ」に自分の意識を向ける.実行あるのみ.
著者は,イェール大学医学部精神神経科を卒業した医師(アメリカ神経精神医学会認定医)であり,医学博士でもある.研究と臨床の両方の経験があるため,書かれている内容にも説得力がある.
重要なのは,体を休めるのと脳を休めるのはまったく別物であると認識することである.体が疲れているなら,何もせずにボーッとしたり寝たりすれば回復するだろうが,脳はそうではない.というのも,脳にはデフォルト・モード・ネットワーク(DMN)が存在し,何もしていなくても(寝ていても),脳は活動し続けているからだ.この活動が脳の消費エネルギーの60~80%を占めるとされる.このため,DMNの活動をうまく抑制することが脳を休ませるためには必要になる.
そして,科学的な脳の癒し方として注目を集めているのが,瞑想やマインドフルネスである.本書では,呼吸法をベースに,脳の休息法として7つが取り上げられている.
マインドフルネス呼吸法
とにかく脳が疲れているとき
効果:ストレス低減,雑念の抑制,集中力・記憶力の向上,感情のコントロール,免疫機能の改善ムーブメント瞑想
気づくと考えごとをしているとき
効果:集中力・注意力の改善,フロー状態の実現ブリージング・スペース
ストレスで体調がすぐれないとき
効果:ストレスの解消,ストレス由来の緊張(肩こりなど),その他不調の改善モンキーマインド解消法
思考のループから脱したいとき
効果:思考ループの抑制,集中力の向上,自己嫌悪の回避,寝つきの改善,深い睡眠RAIN (Recognize, Accept, Investigate, Non-Identification)
怒りや衝動に流されそうなとき
効果:怒りの鎮静,欲望のコントロール,衝動の抑制,ダイエット,禁煙やさしさのメッタ
他人へのマイナス感情があるとき
効果:他人へのマイナス感情の抑制,ポジティブな感情の育成ボディスキャン
身体に違和感・痛みがあるとき
効果:ストレス性の痛み,皮膚疾患,ホットフラッシュ,自律神経の調整
それぞれの実行方法を知りたい場合は本書を読もう.
© 2023 Manabu KANO.