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東京大学の教養講座「生命の根源を見つめる」で視野を広げる

東京大学教養学部主催の「金曜特別講座」を書籍化したシリーズ「知のフィールドガイド」のひとつ.このシリーズは,読者が論理的思考力という武器を身に着けて,あらゆる分野で縦横無尽に駆け巡るようになるためのガイドとして役立つことを目指している.その中でも本書「生命の根源を見つめる」には,自然科学分野の講義が収録されている.講座の対象が高校生と大学生なので,平易に書かれている.トピックは幅広いので,手軽に様々な分野について知ることができる.

生命の根源を見つめるー知のフィールドガイド
東京大学教養学部(編),白水社,2020

自然科学分野の講義と言っても,もちろん内容は多様だ.全部で11個の講義が収録されているので,目次を挙げておこう.タイトルには生命とあるが,宇宙の話などもある.

創造の原動力 新井宗仁

Ⅰ 技術を社会へ
いきモノづくりへの挑戦 竹内昌治
脱力から知る熟練者の身体 工藤和俊
放射線をとことん測ってみる — 測定の現場から 小豆川勝見
タンパク質をデザインして産業や医療に応用する 新井宗仁

Ⅱ はるか時空へ問いかける
天体現象の数値シミュレーション 鈴木建
「水惑星」地球をめぐる水を捉える 沖大幹
タイムマシンは可能か? — 原子時計とウラシマ効果 鳥井寿夫
光と分子 — 分子の形を知る方法、分子の動きを知る方法 長谷川宗良

Ⅲ 生命の行方をたずねる
化学から生物学、その融合領域で楽しむ 吉本敬太郎
哺乳類の進化と妊娠 — 「胎生」の不思議 松田良一
からだのつくり方とその利用法 道上達男

あとがき

東大の研究者が自分の好きな研究について噛み砕いて説明しているので,素人でもそれなりに理解できるし,面白い研究してるな! マジか,凄いな! と感じるものも色々あった.

学部や学科,そして何より自分の興味を狭い領域に絞り込む前に,様々な分野をかじっておくことはとても良いと思う.世の中,自分が知らないことだらけだ.それを知るだけでも楽しいし,もしかしたら将来何かの役に立つかもしれない.

このシリーズには他に人文科学分野の講義を収録したものなど何冊かあるので,読んでみようと思う.

昔,東京大学教養学部のテキストを書籍化した「知の技法」も評判になった.こういう一般向けの本を大学が出すのはいいことだと思う.

© 2021 Manabu KANO.

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