「異なる声に耳を澄ませる」のは良いことだけれど
先日,「生命の根源を見つめる」を読んで面白かったので,「異なる声に耳を澄ませる」も読んでみた.どちらも,東京大学教養学部主催の「金曜特別講座」を書籍化したシリーズ「知のフィールドガイド」である.
「生命の根源を見つめる」が自然科学系の話題を集めているのに対して,「異なる声に耳を澄ませる」は人文科学系の話題を扱っている.
異なる声に耳を澄ませる
東京大学教養学部(編),白水社,2020
読んでみたのだけど,本書にはいまいち興味を掻き立てられなかった.読んで面白いと感じる話題が少なかった.私にはやはり自然科学系があっているのかもしれない.
ともかく,参考までに,目次を掲載しておく.
[目次]
創造の原動力 新井宗仁
Ⅰ 現代の未知に対峙する
原発の最終廃棄物と日本社会 定松淳
鏡としての人工知能 江間有沙
紛争後の平和構築の鍵を握る治安部門 キハラハント愛
正義を実験する−−実験政治哲学入門 井上彰
Ⅱ 摩擦を読み解く
グローバル化時代の中華世界−−多様と流動のエチカ 石井剛
先住民研究の難しさと喜び 受田宏之
言葉の力と科学の力−−『フランケンシュタイン』二百周年に考えること アルヴィ宮本なほ子
なぜ「ユダヤ人は金持ちだ」と言われるのか 鶴見太郎
Ⅲ 常識を穿つ
教科書の「若紫」−−『源氏物語』の本文と挿絵 田村隆
かわいらしければよいのか−−十八世紀フランスから 森元庸介
「作者の死」の歴史性 郷原佳以
ことばの理解を科学する−−心理言語学的アプローチ 広瀬友紀
ダンテの『神曲』を、今読んでみる 村松真理子
あとがき
この本「異なる声に耳を澄ませる」の中で古典文学作品が2つ解説されている.「源氏物語」と「神曲」だ.(私に素養がなさすぎるからか)解説にはあまり魅力を感じなかったのだけど,「源氏物語」も「神曲」も面白いので,まだ読んでいない人にはオススメしておきたい.
源氏物語は昔といっても日本の話なので,背景知識がなくても楽しめるように思う.一方,神曲は,キリスト教について多少は知っていないと,ダンテが旅路で出会う人々が誰だかわからないので,きついかもしれない.
© 2021 Manabu KANO.
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?