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137億年の物語 宇宙が始まってから今日までの全歴史

楽しく読めた.実に面白い本だ.この本は小学校や中学校の副読本としてすべてのクラスに置いたらいいと思う.小学生だと漢字が読めないだろうけど,それでも置いたらいいと思う.

137億年の物語 宇宙が始まってから今日までの全歴史
クリストファー・ロイド,文藝春秋,2012

本書の内容は歴史なので,ここで紹介するまでもないだろう.それよりも,著者であるクリストファー・ロイド氏がなぜこの本を書くことになったのかという経緯の方が興味深い.インタビュー記事「東京大空襲なんて初めて知りました」から抜粋して紹介しよう.

本を書いた最初のきっかけは、当時7歳だった私の娘が学校嫌いになってしまったことでした。・・・

7歳の子供が、世の中つまらない、人生退屈、なんて感じるとは、大変なことですよ。転校しようとあちこち学校を探しましたが、どこも似たりよったりでした。そこで、自分で教育しようと決めたのです。・・・

最初は1年だけ休学させるつもりだったんですよ。そして、学校のカリキュラムに沿って、学校の時間割通りに過ごしてみた。3か月経っても娘が興味を見せる様子はない。そこで、改めて娘に聞いてみたんです。「何が面白いと思う」って。そうしたら、「ペンギン」と答えた。

そこで、私と妻は娘に言いました。「よし。じゃあ、ロンドンの動物園にペンギンを見に行こう。それから、ペンギンが住んでいる場所について一緒に勉強しよう」。娘は、ペンギンが南極に住んでいることを知りました。そこから、ペンギンが暖を取るために集団生活をしていることを発見します。そこで私は「この大きなグループのペンギンにこの小さなペンギンが加わったら、全部で何羽になるかな?」と自然に算数の勉強に持っていきました。娘の目はキラキラしていました。それから、我々は南極の氷について学びました。氷は水が固まってできます、水は蒸気が液体になったものです。すべて同じ物質です。そう、理科の勉強ですね。

そして、今度は氷山について話をしながら、氷山にぶつかって沈んだ豪華客船「タイタニック号」の話に持っていったりしました。ペンギンにまつわる詩や歌について学んだこともありました。試行錯誤する中で、私たちは、子供が興味を持ったものを使えば、学校のカリキュラムに盛り込まれていることなどすべて教えられることに気づいたのです。娘はまるで旅をしているかのような感じで、冒険と発見に満ちた学習をとても楽しんでいました。

私は教育系出版社に勤めていましたが、退社して子供の教育に全力を注ぐことに決めました。・・・

仕事を辞めて、最初にしたことは、キャンピングカーを買って、欧州を旅することでした。これは、家族全員にとって大きな学びとなりましたね。旅の途中で、科学と歴史を結びつけて教えられる本をあちこちで探し回ったのです。でも、そんな本はなかった。どうしてもっと、自然科学の歴史と人類の歴史を一緒に語りながら、誰でも理解できるような本がないのかと。世界で一番重要なのは、「この地球で一体、何が起こってきたのか?」なのです。出来事の羅列ではなくて、今、我々が生きている世界の長い歴史です。

そこで、自分で本を書くことにしました。娘に教えつつ、出版するための本を。

これだけ知れば,もう,この本を読むしかない.少なくとも私はそう思ったので読んだ.

本書はタイトル「137億年の物語 宇宙が始まってから今日までの全歴史」の通り,宇宙史をまとめたものだが,ビッグバンから現在までの137億年を24時間で表している.人間の歴史なんて最後の1秒だけだが,その説明が500頁中の400頁を占める.うちの子供たちは,たった1秒の出来事が本のほとんどを占めることに興味津々だった.

© 2013 Manabu KANO.

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