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「お酒の経済学」的側面を学ぶ

日本酒,ビール,ウイスキー,焼酎,そしてRTD (Ready to Drink)に分類して,国内市場・海外市場の動向を解説し,人口減少と高齢化で市場としての将来性がない日本市場に依存せず,日本の酒類メーカーがどのようにして生き残っていくべきかを論じている.

最も厳しいのは,国際的に高い評価を得られていない焼酎っぽい.第3次ブームが去ったとはいえ,日本国内では引き続き強いが,国内市場は成長しないので.

なお,RTDとはチューハイやサワーのことである.業界用語らしい.

お酒の経済学 ー 日本酒のグローバル化からサワーの躍進まで
都留康,中央公論新社,2020

色々なデータを示しながら,過去から現在までの変遷を解説してくれているので,なるほどなと思いながら読んだが,製造方法や設備に対する著者の理解は中途半端なようだ.ウイスキーの蒸留工程を説明するところで,「単式とは蒸留を1〜3回まで行うことを意味する。スコッチの場合は2回蒸留する。連続式とは、単式蒸留の繰り返しである。」と書いてあるが,これは間違っている.控えめに言っても,確実に誤解させる.これでは,単式蒸留を2回繰り返すスコッチは連続式だろいうことになってしまう.製法には触れず,経済的・経営的側面だけを対象にしておけばよかったのにと思う.

目次
第1章 日本のお酒の現在
第2章 日本酒―伝統と革新
第3章 ビール―「新ジャンル」と「クラフト」との狭間で
第4章 ウイスキー―国内外人気の光と影
第5章 焼酎―三度のブームと停滞する現状
第6章 グローバル化―現状と課題
終章 日本のお酒はこれからどうなるか

© 2023 Manabu KANO.

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