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本の紹介・読書の記録

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#ウイスキー

バイブル「モルトウイスキー・コンパニオン」で最高得点を獲得したウイスキーは?

本格的にウイスキーを飲み,勉強するなら,どこかのタイミングで手にする本だろう.バイブルと言える. Michael Jackson's Malt Whisky Companion 本書「モルトウイスキー・コンパニオン」の初版は1989年に出版されてベストセラーになった.その著者であるマイケル・ジャクソンは2007年に亡くなったが,彼の遺志を継いで,ドミニク・ロスクロウとギャビン・スミスによって2015年に出版されたのが,この改訂第7版である.改訂第7版の日本語訳は2021年

「グッド・ウイスキー・タイム」で楽しく学ぶ

元宝塚娘役トップで,自分のバーを長らく経営している新谷さんによるウイスキーの解説本.初心者向けで,とてもわかりやすく書かれている.ウイスキーを飲み始めた人やウイスキーがちょっと気になる人が気軽に読めると思う.マンガやイラストも多いので. これからウイスキーを学ぼうとする人の1冊目として良い本だと思う. ウイスキーの好みを表現するために,あるいはウイスキーの香りと味の特徴を区別するために,本書では一貫して,「フルーティーテイスト」,「ミディアムテイスト」,「スモーキーテイス

「ビジネス教養としてのウイスキー」を学ぶ

マッカラン60年の落札額は驚異的で別世界の話だが,そのマッカランがスポンサーとなり,オックスフォードやケンブリッジを含む英国の大学で学生対象のテイスティングセミナーを開催しているといった話も興味深い. どこか弊学でセミナーしませんか? 投資してのウイスキーの話ばかりではなく,庶民の酒だったウイスキーが,オークションで競売されるようになるとは誰も思わなかったウイスキーが,ここまで世界的に認知されるようになったのはどうしてなのかという歴史的経緯も解説されている. ウイスキー

波瀾万丈な「物語 スコットランドの歴史」

イギリス(UK: The United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland)は,日本と同じ島国とは言え,民族が入り乱れての戦乱をずっと続けてきた国なので,随分と成り立ちが異なる.そのイギリスを構成する国々のひとつがスコットランドだ.本書はそのスコットランドの歴史,特にイングランドとの関係をコンパクトにまとめている. コンパクトにまとめているとは書いたが,人名を覚えるのが超苦手なので全然頭に入ってこない.王の名前も○○2

「スコットランド 旅の物語」を読んで歴史や文化や料理を知る

スコッチ研究家である土屋守氏がスコットランドを旅したときの物語なので,もちろんスコッチウイスキーがその基盤にあるのだが,ただの蒸溜所紹介でも旅行記でもなく,スコットランドで暮らすスコットランド人を形作っている歴史や文化,そして料理を紹介している.そしてその意図は, という著者の言葉に現れている.本書「スコットランド 旅の物語」は土屋氏のスコットランド愛に溢れてもいる. ある方に勧められて,村上春樹の「もし僕らのことばがウィスキーであったなら」を読んだと書いたところ,別の方

「ウイスキー検定公式テキスト」で受験勉強

2021年度末に大学院を修了する学生たちからウイスキー(バランタイン17年)をプレゼントしてもらった.それまでウイスキーを飲んでいなかったのだが,そのウイスキーがとても美味しく,それからウイスキーを嗜むようになった. ウイスキー遍歴については別にまとめるつもりだが,さらにウイスキーを楽しむために,ウイスキー検定を受けてみようと思い立った.そこで購入したのが本書「新版ウイスキー検定公式テキスト」だ. これまで,ただウイスキーを飲むだけだったので,とても勉強になった.ただ,誌

「もし僕らのことばがウィスキーであったなら」を読んでアイラ島に思いを馳せる

村上春樹のスコットランド・アイラ島とアイルランドの旅行記/エッセイ.ウイスキーの聖地巡礼.アイラ島に行って,何日か滞在して,ウイスキーを飲みつつボーッとしたい. アイラ島のボウモア蒸溜所を訪問した村上春樹が,ボウモア蒸溜所マネジャーのジム・マッキュエンに生牡蠣の食べ方を教わったという. うぬぬ,これは試さねばならない. そのアイラ島について,村上春樹はこう締めくくっている. このエッセイの初出誌は1997年の「サントリークォータリー」. © 2022 Manabu