【おすすめ本】これやこの/サンキュータツオ
漫才師であり、学者であるサンキュータツオ、初の随筆集。
そこに書かれるのは、自身の経験として死に立ち会ったタツオ氏の個人的な心情だ。
メインとなる話は、自身がキュレーターをつとめる「渋谷らくご」とそこに出演していた柳家喜多八、立川左談次、二人の落語家の師匠の物語だ。
その他にも、中学時代の教師や、大学時代の同じサークルだった女子。
いとこ、父親、祖父母。淡々と、その別れを描いていく。
一人でいる方が好き、しかし、それでも人と人とは自然につながっていく。そして、いつか別れてゆく。
それは世の理だからと、淡々と記す。
別れとは、喪失であるが、それ以上に記憶の楔として捉え綴っていく、その姿勢は、嫌味がなく(不謹慎であるかも、しれないが)心地よい。
それは、なんとなくだが「くさい」を嫌う落語を思い出させる、そんな文章だ。
(ここまでで10分)
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