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【ふしぎ旅】鶉石

 新潟県糸魚川市能生地域に伝わる話である。

 その昔、鶉石という地名のところにある田圃の中に大石があり、これを鶉石と呼んでいた。ウズラのような形をしていたからだという。
 昔から、この田圃は神聖視され、肥料には決して汚物を使用しなかった。
 ところがある時、ある者が、この石を掘り起こし、近くの川へ捨ててしまった。
 すると、この一家は悪病にとりつかれ、死に絶えてしまった。

 そこで、石を破片まで集めて元の場所へ戻し、遠い縁者に頼んで家を再興してもらった。

 大正6年(1917年)に再び、この石を掘り起こした。
 石の下に屋根の形をした石と、大きな甕が出てきた。 
 甕の中には木炭の粉と朱が詰まっていた。
 村人たちは石の祟りを恐れて、そこにシメナワを張って清め、石は近くの母袋神社へ納めた。

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 石にまつわる祟りというか、そのような話だ。
 祟りでなくても、田圃の中に、大石があり、それを撤去せず、神様として祀るという例はいくつか見たことがある。

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 福島県只見町では、小さな社が岩の上にあった。

 ただ、面白いのは、実はこの話、鶉石という地名のところに、鶉石と呼ばれる田があり、その田の中にある大石をウズラ石と呼んだとされている。まさにこの土地が鶉石に象徴される場所となっていることだ。

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 そのような石を、わざわざ川に捨てたのは何故だろうか、と気にかかるところではある。
 結局は、石に祟られ、一家が滅びるという結末も、それ以上は詳しく語られていないため、余計に怖いものがある。
 更に、大正という、比較的最近において、掘り出してみたら、屋根型の石(おそらくは祠)と炭と朱が詰まった甕が出てきたという話はおそらく事実なのだろう。
 炭も朱も、お清めのために、使われることがあるので、長い年月をかけて、祟りを恐れ、清めようとしたということなのだろう。

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 鶉石という田がどこにあるかは分からなかったが、母袋神社はあり、鶉石もそこにある。

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 神社自体も、小さいところであるし、鶉石も注連縄がなければ、気づかないほどヒッソリとしている。
 これが、祟られた石と言われなければ、気づかないだろう。
 ウズラのような形をしていると言われるが、言われなければ気づかない。
 むしろ、同じ糸魚川の道の駅近くにあるトットコ岩の方が鳥らしい。

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 さて、実はこの辺りを散策していて、奇妙なものを見つけた。
 その近所にも自然石を祀っているところがあったのだ。

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 これも、何か伝説があるのだろうか?
 個人の敷地にも見えたので、立ち入らず、道路からの遠撮になるのではあるが、いわゆる死期が近づくと自然と石が運ばれてくるオボト石の類の話かもしれないが、近くに鶉石なる聖石があるので、その類の話なのかもしれない。

 少々気になるところではある。

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