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全編にわたり死がただよっているている自伝「「私」という男の生涯」

石原慎太郎の自伝「「私」という男の生涯」を紹介します。

この本はこの2月に89歳で生涯の幕を下ろした石原慎太郎さんの自伝になります。帯にもある通り、自分と妻の死後に出版するという約束のもとに書かれたものだそうです。


いろんな経験をしている

人生の中で様々な経験していることは驚きでした。石原慎太郎さんといえば、政治家、もしくは小説家というイメージだけいかなかったけど、それだけじゃなかったんですね。若い頃に日生劇場の建設に関わっていたり、南米の約1万キロをバイクで横断していたりと、知らなかったことがどんどん出てきました。

これはひとえに、小説家として文章で有名になって、色んな人との縁ができたのが大きいように思います。新しいことに積極的にチャレンジするのが好きな性格もあるんでしょうがね。

政治家の記述は少ない

石原慎太郎さんといえば、やはり東京都知事で、政治家のイメージが強いと思います。都知事の前もなんと国会議員を25年勤めて、さらに環境庁長官や通産大臣などを歴任しているので、政治が好きかと思えばそんなことはなく、国会議員時代はあまり思うようにいかず、後悔しているようです。小説家としての活動にも悪影響を与えたとのことです。この辺は意外でした。

ただ、知事時代は自分がトップとして、先頭に立って政策を進めることができるのがよかったのか、気持ちよく勤めることができたようですね。確かに、ディーゼル車の排ガス規制、東京マラソンの実現、更にはあまりうまくいかなかった新銀行東京など、良くも悪くも、次々と新しいことに着手してましたからね。

全編に死が暗示されてます

しらなかったんですが、石原さんは2012年に脳梗塞を患ったそうです。早めに治療にあたったので大事には至らなかったものの、手に障害が残るなど老いを感じようになり、死ぬ前に自伝を書こうと思いだったそうです。なので、全編にわたり死が暗示されてます。

体の衰えを嘆く場面がところどころに出てくるんですが、このことは体の衰えたあとにこれだけの文章を書いたことを意味するわけでそういう凄みを感じました。また、そんなときに人間がどんな境遇に陥るのか、書くひとはなかなかいないので、貴重に思えます。

女性遍歴も赤裸々

これは妻の死後に出版とした理由でしょうが、赤裸々に女性遍歴が書かれています。中でも最後の女性は都知事になったあとに知り合い、関係を持ったとのことで驚きました。都知事という公職につきつつも、そんなプライベートがあったとは、、、


ということで、「私という男の生涯」の紹介でした。この小説が好きなら、同氏の田中角栄の生涯を描いた「天才」もおすすめします。



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