ハブ石井

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陽キャと陰キャの分断なき、大J-POP時代到来

 最近のJ-POPシーンの風潮は、すごくいいものになっていると感じる。この心地よさは、音楽を聴く層が”分断”されなくなったことに端を発すると私は考えている。  2000年代以降のJ-POPは、聴く層がはっきりと分断されていた。もちろん細かく見ればその分断は音楽界のあちこちで起こっていたわけだけれど、J-POP業界というワールドマップのど真ん中に、誰もが意識する大きな分断がグランドラインみたいに走っていた。それが、陽キャの音楽と陰キャの音楽だ。  恥ずかしながら私は、発売し

    • 邦楽の持つ"夜"のモード

       最近の邦楽、とくにロックやボカロPの出身プロジェクトなんかは、"夜"という言葉を冠したグループ名が多い。  夜の本気ダンス・yonige・ずっと真夜中でいいのに・YOASOBI・ヨルシカ……ほかにも探してみてほしい。また、曲名にも夜がついていたり(サカナクションの夜の踊り子とかフレンズの夜にダンスとか)、歌詞の中で夜が強調されているものも多いことに気づく。それほどまでに、昨今の邦楽は、全体的に”夜”というモードを強く意識している。  この傾向、いったいいつから始まったの

      • 制約を逆手に取るFear, and Loathing in Las Vegas

         Fear, and Loathing in Las Vegasというバンドがある。寄生獣やカイジの曲でおなじみのバンドだ。名前が長すぎるので「なんちゃらラスベガス」などと呼ばれている。あまりにも言われるためか、自分たちの広告看板にもこの俗称を用いていて笑ってしまった。  彼らの音楽は、実に新しい。そして、聴いたら一発で彼らの曲だとわかる。これはとんでもなく稀有なことだ。音楽のパターンが出尽くしてしまったと言われる昨今、誰でもわかるほどのオリジナリティを出すことは簡単ではな

        • 尾崎世界観は和歌の名人である

           いきなりワケわからんことを言ってすいません。でもそうなんです。  尾崎世界観といえば世を時めく人気バンド、クリープハイプのボーカルであり、ほとんどの楽曲制作を手がける中心人物である。今や街を歩けばどこかしらから聞こえてくる高音の、拗ねた子猫のような歌声。最初は「なんだコレ」とか思っても、いつの間にかそれがクセになり、耳に残るギターリフと現実的でウィットに富んだ(あと下ネタにも富んだ)歌詞世界も相まって、皆あれよあれよとファンになってしまうのだ。かくいう私もそこまで大ファン

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