若葉

「沢山経験しろ。」
大人は口を揃えて言う。理由は分からない。
21歳の私は一般的に見たら大人の部類だが、私の思う大人と今の私は雲泥の差が確実にある。
けど私は、歳下の子達に「沢山経験しろ」なんて伝えられない。むしろ、経験が浅はかな私より経験しないで欲しい。

大人たちのいう「経験」ってなんだろう。

私には、彼らが何を経験してなぜその言葉を口に出すのか分からない。何かを後悔しているのか、それとも何かを経験した上で成功を成し遂げて伝えたいのか。それともその他か。

「経験」という言葉を発する大人達は、確かに大人だが謙虚さが無いように思える。自分達は、もうやり切りました。燃え尽きました。そんなニュアンスで伝えてくる大人も居る。目を輝かせた少年心を持った大人に、本の中でしか出会ったことがない。

ここ最近卒論のテーマをずっと考えてた。
私は「幸福」をテーマにしようとした。
理由は、今の私が幸福だからだ。それも毎晩幸せだと思って寝付くほど。
私の幸福は、「愛されていること」だ。自分でもよく思うくらい私はヒトからかなり愛されてる。モテてる訳では無い。あらゆる人から、様々な形で愛されてる。
今の私の幸福度が高いのも、私と関わってくれている全ての人おかげだ。私は何十人もの人にもっと感謝を伝えるべき。

そう。私は卒論のテーマを「幸福」という題名にして、ただ私が愛されている自慢を研究というかっこいい言葉に、無理やり結びつけようとして発表するつもりだった。

だから、その準備をするために色々な人達が私に伝えてくれた言葉を思い返して並べた。私を叱った言葉。感謝の言葉。自分の過去の経験。心境。
スナックのママも、バイト先の店長も、元彼のママも、親族も、ニュークラのお客さんも全員共通して私に伝えた言葉こそ

「沢山経験しろ」

私はこの言葉の意味が理解できなかった。
あった出来事を話しても、「まあ若いからね」の一言で済まされる。ムカつく。

で、経験って何を?恋愛なの?仕事?遊び?どの大人も答えを教えてくれない。

そして大人達はこうも言う

「お前らの将来は大変だ」
「年金貰えなくて可哀想だ」
「将来は仕事が消えるぞ」
「日本から出ろ」「金稼げ」
「金貯めろ」「介護しろ」「子供産め」

はー?って思う。
色々経験しろ。っていうのは、お前らの将来行く末真っ暗だから後悔すんなよって伝えたいの?

時間の流れは平等だ。大人たちにも、私と同じように時間が流れる。

目を輝かして少年心を持った大人は居ないのだろうか。

少子高齢化、世界恐慌、自然災害、物価上昇
いずれ来るだろうけど、お前たちは自分たちで社会を築きあげることができる。
可能性がある。って言ってくれる大人はどこにいるのだろう。

この間読んだ本は、これから社会を築きあげていく今の若者たちを小説で間接的に励ましてくれる
そんな本だった。

私は未だ経験値は浅い。
だって21だもん。
けど21でも、大人たちにいくら将来を脅されても
私は自分の将来に期待しかしていない。
楽しみで仕方がない。しかも今の私はかなり幸せ。
大人たちの脅しには乗らないくらいポジティブ。

さて話を卒論に戻そう。
幸福論を卒論のテーマにする予定だったが、やめた。
若者はたくさんの幸福をもって、将来起こるであろう、もしくは必ずくるであろう出来事を今のうちから学び、どんな社会にも刃向かえる力を養わなければならないと思う。

そこで改めた卒論のテーマは
「若者たちの将来の希望」だ。

そこには、幸福論も含まれる。
大人たちの脅しなんか効かない。
私の卒論で、同級生もしくは私たち世代の若者の未来が少しでも明るくなれたら私の卒論は完璧だと言える。

いいものにしてやる。
私たちはまだ1度も人生を生ききっていないのに
これからの社会何があるかも分からないのに絶望なんてしていられない。
私たちはまだ若葉だ。大人たちが見せてきた花よりも、綺麗な花を咲かせてやる。

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