24 - ウォーミングアップ
24
Chantrapas(シャントラパ/以下”C”): 今日はこの後が押してるから。
Johnny Cash(ジョニー・キャッシュ/以下”JC”): うん。
C: ウォーミングアップなしで。メモある?
JC: あるよ。
C: 今日は5個ずつ半々でやってみようという話だったけど……何個ある?
JC: 5個。ほんとにメモ。
C: あるの? 素晴らしい。
JC: この言葉から連想していく、という感じ。
C: これ用意してた。「JCのメモがなかった場合のサブ」余分に。
JC: ははははは! サブがあった。めっちゃ不安視されてる。はははは。
C: あるのね。じゃあこちらも5つでオッケー。
JC: まずね、
C: 先攻?
JC: そうね。「書き言葉と話し言葉」
メモ1:書き言葉 話し言葉
C: あぁ。
JC: 話してるのを文字に起こしてるでしょう。すると、こういう事を考えるよね。
C: どういう印象がある?
JC: 書かれることを前提として……出来るだけ「喋らないように」喋るでしょう。
C: うん。
JC: 「言葉が文章化されるかも」という考えが入るだけで、言葉というのは急激な変化をもってくるんじゃない? 良し悪しが分からないけど。
C: 書かれる・書かれないに関わらず、当然言葉は時と場合を選ぶよね。
JC: うん。
C: 何か自分の欲望があって……「そんなこと言うなんて不謹慎だ」みたいなシーンがあるじゃない。
JC: 特に最近ね。そんなことないか。ふふふ。
C: 例えばだけど、よほど露悪的に振る舞わない限り、あえて「不謹慎だ!」って言葉は選ばないわけじゃん。
JC: おん。
C: 「バランスの取れた人」ならね。だけど……その欲望なり本音は皆マスクの下に隠し持っている。
JC: うんうん。
C: じゃあ別に一緒なんじゃない? と答えるかな。
JC: あぁあぁ。うん、確かに……。結局「突っ込んで言わないと開けない領域」というのがあるから、それが話し言葉にとって凄く重要。
C: うん。
JC: そこを避けていると、会話というのはほぼほぼ無意味なわけよね。そこには長いストーリーがあったりはするけど、ある程度踏み込まない会話というのは、ほぼ意味がない。で、書き言葉というのはそれ「だけ」で成立する。
C: うん。
JC: しなくちゃいけない。「踏み込む言葉」だけで。
C: ほう。
JC: 土俵がそこになってくるかもしれないよね。
C: そう……文字起こし担当として、強く訴えたいことがあるよね。
JC: おん。
C: ジャズピアニストの南博さんのエッセイにある。「はぁ~、バンドってこういうことなのか」と思ったんだけどさ。
JC: おん。
C: 長く険しいツアーが始まるでしょう。
JC: うん。
C: 毎日演奏する。毎日どんちゃん騒ぎ。毎日移動。演奏、宴会、移動、演奏、宴会、移動。その繰り返し……で、「移動中の車内で昨日の演奏の話をするやつは馬鹿だ」っていう。
JC: うんうんうん。
C: 絶対振り返ったらいけない。ははは! 結構実践してる。前に書いた文章を読むと、どうしても直したくなるからね。
JC: うんうん。
C: 一月半で23個も記事を書けば、スキルは当然変わってる。例えば、最初の頃は一文を長く取ろうとしてたけど、今は文節を出来るだけ意識して……とか。自分の中で気持ちいいリズムが常に変わってるからね。
JC: うん。
C: 振り返って直したくなるんだけど、それするとたぶん破綻が待ってる。
JC: はははは!
C: 破綻が!
JC: 待ってるね。
C: それをバンドのツアーの描写から強く学んでるよ。だから書き言葉と話し言葉についてジャッジするという試みは……スキップかな。はははは。
JC: はははははは! 早速スキップ!
C: もし昨日の演奏について振り返りたいなら……。
JC: 違う違う違う。
C: JCの試みはそっちじゃないんだろうけど、自分の中ではそっちになっちゃう。ははは!
JC: くくく。
C: 内容について意見を交わすのは、チェックの時の一回きりで、絶対にそれ以上振り返らない。変えたい事があれば、文章で変えていく。
JC: 戦争なっちゃうね。確かに……バンドってそういう側面あるかな。
C: 実体験?
JC: 自分達はそんなに長いツアーなんてやったことなかったけどね。でも、同じ曲を演奏しないといけない周期に入ってきて、何日間かツアーが続くと……そうなるんだろうね。ショービズ的にも。
C: 昨日の演奏を反省した瞬間から破綻する。
JC: おおん。人間関係云々じゃなく音楽的に行き詰まる。そこが恐いところ。
C: 音楽で変えていかないといけない?
JC: 音楽で変えるのが怖いのよね。だから……どっちにしろ破綻が待ってる。
C: はははは!
JC: バンドのツアーなんて破綻でしょう。くくくく。
C: 破綻へ加速してるだけか。間隔空けて東名阪くらいにするというのが知恵? ははは。
JC: そうそうそう。はははは。一日やったら一日休むとかちゃんとしないと。うん。
C: 無茶なスケジュール組むからね。
JC: ああいうのやめた方がいい。
C: じゃあ、これに変えよう。「JCさんの」書き言葉と話し言葉……は、ボーダーがない。
JC: うんうん。
C: 文字起こし担当から申し上げます。一つ「文節に区切りながら喋る」。喋ってる時点で書かれてるよ。
JC: そういう喋り方かもしれない。
C: 割とそのまま文字に起こすとああなる。そんなにいじってない。
JC: 確かに。
C: 二つ、笑い方にバリエーションがある。
JC: ふふふ。
C: 「はははは!」のとこと、「ははは」のとこ、「くくく」「ふふふ」とか、あれは基本「音」で文字起こししてる。
JC: おおん。
C: わたしがカードを配ってるわけじゃなく、音通りやってるわけですよ。だからJCについては意外と書き言葉と話し言葉は……意識どうこうは置いておいて、割とそのままなんじゃない?
JC: 読んでてそんな感じする。
C: 聞いててそんな感じするよ。
JC: 笑い方はね……笑い方ほど人が出るものはないかもね。
C: わたしは一定。
JC: 感情がちゃんと安定してる……どこが! はははは!
C: 学校教育について急に怒り出す。プンプン!
JC: シンプルよね。Cはまとまってる。
C: JCはバリエーション豊かだよね。
JC: そうね。露骨に馬鹿にしながら笑ったり。くくく。
C: いちいち意味がある。
JC: そうそうそう。細かく変えてあるよね。笑い方って重要だなとは思ってる。
C: 最初からそれは気付いてた……雑誌のインタビューとかであるでしょう? 「(笑)」「(爆笑)」「(苦笑)」「一同(笑)」とか、笑い方の文字表現ってだいたい決まってる。
JC: あぁ。
C: それにしなかったのは……かなり加点。
JC: なるほどね。
C: 先を捉えてた。
JC: はははは。音にした。そういうことかもしれない。子供の頃から気付いていたけど、自分は色んな文章に影響を受けやすい。良くも悪くもなのね。だから……Twitterとかめちゃくちゃ危険!
C: なう?
JC: にはならないけど、人の底が見えるまで追っかけてしまう癖がある。相違点が出てくるまでね。流しながら見るのが多分普通……。流さないで、いちいちその人と自分の違いが分かる所まで追っかけてしまう。そういう意味で言葉から影響を受けるというのが凄く強くて、話し言葉自体も今まで読んできた本の蓄積。
C: うん。
JC: 多分みんなそういう風には言葉が出来てないでしょう? もっと普段の日常の関わりからでしょう。
C: なのかな。
JC: 口語で出来上がってると思う。そこに口語で出来上がってない人が来ると……変なこと言ってるように聞こえるわけよ。その時点で書き言葉だから。「こいつ何だ?」って、アクセントになる。
C: 熟語使いだものね。
JC: そうそうそう。言い回しが変、ということになる。言っていることはみんなとそう変わらなくても……。
C: 変わらなくなくはないと思うけどね。
JC: ははははは!
C: そこはまあいいや。はははは。ウォーミングアップだったね。17分。面白い。じゃあストップ!
JC: うん。
(つづく)
2022年3月14日 doubles studioにて録音
ダブルス・ストゥディオ
Johnny Cash (thinker/artist) & Chantrapas (designer/curator)
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