見出し画像

考えさせるレッスンのススメ

僕はよく中学・高校の吹奏楽部にレッスンに行くのですが、レッスンを終ると「もう終わりですか?早いですね」と言われる事があります。

僕のレッスンは1人45~60分はやるようにしていますから、決して短いとは思いません。ですが、吹奏楽部の先生方は何時間も練習する事に慣れているからか、短く感じるようです。ちなみに、生徒が練習しておらず、これ以上やっても意味がないと判断した時は早めに終わる事もあります。

レッスンを長くやるのは簡単な事です。課題が出来るまでじっくり練習に付き合ってあげること。でも、僕はこれが生徒の為だとは思いません。数字で答えが出ない音楽の世界の場合、「絶対に正しい指導法」なんて存在しない。先生は生徒に合った練習方法を見つけて道を示し、生徒は自分で悩み考えながらその練習を実行して成果を上げていくことが必要。「生徒に自分で考えさせる」、これが教育だと思います。

特に昨今の生徒さんは情報過多のこの時代、「与えられること」に慣れ過ぎています。僕はロボットのような人間を育てるつもりはないので、なるべく一度は自分で考えさせ、結果誤った方向に行きそうな時だけアドバイスするようにしています。吹奏楽部には「指示待ち人間」が多いように感じるのは、良く言えば丁寧に、悪く言えば過保護なレッスンをし過ぎる先生が多いからではないかと思うこともあります。

それに、中学生はとにかく集中力がもたない。「お前のレッスンが退屈なんだ」と言われればそれまでですが、そもそも自分からコントラバスを希望した訳でもない生徒さん相手のレッスンは、雑談を交えての60分が精一杯。プロオーケストラの練習が1コマ60分なのも、集中力の持続を考えると妥当な設定なんだと思います。

もちろん、本番が近いのに弾けていないとか、その生徒の性格などを考えて付きっきりでやらねばならない状況であればそのようなレッスンもしますが、基本的には練習方法を伝え、あとは一旦考えさせるというのが基本方針。

最近「職人のように何年も下積みをするのは無駄、専門的な勉強をすれば云々」という話題を見ましたが、あれには共感できる部分とそうでない部分があります。「背中を見て覚えろ」は確かに古い発想ですが、楽器の場合言葉で伝えるよりも演奏して聴かせる音のほうが数倍理解し易い。
まず弾いて見せる事で音のイメージを伝え、言葉で技術的な練習方法を伝え、後は「どうしたらあのような音が出せるのか」を考えさせる、というのが効率的かなと思います。






この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?