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立つバターナイフヤマイチ小椋ロクロ工芸所

『立つバターナイフ』

食パンにバターを塗り、そのバターナイフを立てて置く。
何気ない動作ではありますが「立つバターナイフ」これがとても便利なのです。


このバターナイフは、樹齢100年~200年を超える大木達がひしめき合う山あいの小さな町、長野県木曽郡南木曽町の「ヤマイチ小椋ロクロ工芸所」で作られています。

木曽は昔から木の産地であり、木曽谷に育つ欅・栃(トチ)・栓(セン)・栗・ほう・桜・柿など、木目の美しい広葉樹をロクロで挽き、丸い器をつくり出します。ロクロ細工は、厚い板や丸太をロクロで回転させながらカンナで挽いて形を削り出す伝統技術です。


一見、このバターナイフにはロクロの技術が使われていないように見えますが、滑らかな持ち手の部分からナイフにかけての「くびれ」はロクロ細工でなければ作れないラインです。

ナイフの部分はロクロでベースを作ったものを職人が一つずつ手で磨いていきます。

職人さんがひとつひとつこだわりながら作っているこの道具は、木目ひとつにしても他と同じものがないところがいいところ。木の種類で色も硬さも違うのです。

そして、何より立つところがいい。バターを塗った後にヘラにバターがついたままどこへ置こうか迷った経験がある方もおおいのでは?バターをぬったら立てて置く。バターをキッチンペーパーで拭き取りそのままいつもの場所に戻すだけでいいのです。

これだけ聞くと、ちょっと不衛生にも聞こえますが、こうして毎日使うことでバターの油が木に馴染み、使えば使うほど味が出て良くなっていきます。

使いやすさの観点からこのバターナイフを使っているといえばそうなのですが、食卓やキッチンに置かれた時に見えるなにげないその風景、そこから見える木の素朴さに、心がほっこりとするところがまたいいのです。


使い込めば使い込むほど味が出る道具。経年変化を楽しみながら使い続けたい道具です。


Double 松山絵美


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