【歴史の再評価とは】 大河ドラマ 「青天を衝け」 第38話
俺たちはそれを忘れさせてはならねえ
小栗忠順も井伊直弼も、もちろん徳川慶喜も、今まで正当に評価されなかった人物に再度光をあてた回でした。
徳川慶喜の再評価にむけた栄一の活動は読んだことがあったけれど、それ以外の人物にも同じことを、という台詞も盛り込んでいく。
1年あるからこそ、これまでの通説を説得力たっぷりに紡げる。それが大河ドラマの面白いところだ。
「女城主直虎」で小野政次に対する歴史的評価を180度ひっくり返した脚本は未だ記憶に新しいし、「麒麟がくる」の明智光秀もこれまでの光秀像とは全く違う為人を描いていた。
それらの作品ほどの引っくり返され感はないけれど、本作も無意識のうちにかかっていた歴史バイアスを、じわりじわりと取り替えていく。
更に、「大河だから美化するだろう」と思っていた栄一の女性問題にも踏み込んでいる。
品行上の問題があったとしても
ここまで歌ちゃんに言わせるとは。
篤二くんとおくにちゃん、栄一の関係も描いているのも凄い。
良いことをしていたら、きっとかっさまは治ると言われ、普段は殆ど家にいないとっさまと草むしりをしても、結局かっさまは治らなかった。
「良い子にしていたら、サンタクロースは来てくれるよ」と言われたのに、サンタクロースがこなかったら、「自分が悪い子だから、サンタさんは来てくれなかったんだ」と子どもは思い込むだろう。その傷をずっと抱え込むだろう。
本当は、その年、ご両親の経済事情からプレゼントを買えなかっただけだったとしても、子供にはトラウマとして残ってしまう。
同じようなトラウマと、栄一の跡取りとして期待される重圧で、篤二は放蕩に走る。実際には本当にダメダメだったのかも知れないけれど、こうやって描かれると、なんとなく共感できる。
「徳川万歳」に始まった今回は、日清戦争で幕を閉じる。
「天皇陛下万歳」と叫びながら亡くなる青年を多く生み出した第二次世界大戦を彷彿とさせる。
そしてその戦争は、賠償金に端を発するのだ。たった一言しか出てこなかったけれど、その小さな一言が、大きな歴史のうねりのきっかけとなる。
くぅ。
明日も良い日に。
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