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【幻聴とは】 セールスマンの死

もしもあの時こうしていたら、という場面は誰にでも1つや2つ、あるだろう。ことによっては、その時の決断が何度もリフレインすることも。

交錯する過去と現在の狭間で、ウィリーは昔の兄と会話する。それは、現在の時間にいる妻には、ただの独り言にしか聞こえない。

息子の本音の叫びも、ウィリーにはもう届かない。見たい、信じたい息子の姿しか、彼の目には映らない。「あの日」を封印してしまった時から、現実の時間は彼を責める要因でしかない。

こんなはずではなかったのに。自分も、息子も、何もかも。

少しずつずれていく会話。

終始鳴り続ける不穏な和音。

舞台中央にずっと佇む、何も言わない冷蔵庫。杭のような電柱。

凄いものを見た。

来月もアーサー・ミラーの「みんな我が子」を見に行く。楽しみだ。

明日も良い日に。

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