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【生き残った者とは】 大河ドラマ 「青天を衝け」 第26話

まずは篤太夫を見守りましょう。

家康さんが口に出すのも嫌そうな「廃藩置県」が終わった辺り。明治にはなったけれど、まだまだ世の中は落ち着いておらず、函館の戦争はまだ続いている。

この動乱の前後を完全に海外で過ごしたら、今とは考えられないほどの浦島感があるはず。故郷の山河にどれだけ癒されたことだろう。変わらないものがあるって、強い。

生き残ったものにはなすべき運命があると、お前が言ったのだ。

長七郎と再会するワイドショットの、下から斜めに切り取られたかなり広角なワイドショット、なんでこんなショットにしたんだろう、と思っていたら、そうか、あの会話は栄一の脳内会話だったのか。

この段階では、ただ故郷へ向かう背中を押して貰ったようにも見えるのに、少しの違和感を先取りして植えておく演出の巧みさよ。

前をむけ栄一。
崩しっぱなしでどうする。この先こそが、お主の励み時だろう

この回全体を通して、これまでの常識が完全に転覆し、今まで支えていたシステムも上司もなくなってしまった栄一のゼロ地点が描かれていた。

誠一郎はまだ五稜郭で戦ってはいるけれど、戦いについて多くは触れられない。短く差し込まれたカットは誠一郎や土方ではなく、高松凌雲がパリで学んだ「敵味方の別なく傷病者を助ける精神」の実践の現場を描くためのものだった。

色々のご心配、ありがとうございます。

「ご心配」のあとで、「すみません」ではなく、「ありがとう」と続けるの、真似しよう。「心配かけてすみません」とワンフレーズの決まり文句みたいに使っているから、どうしても「すみません」とつなげてしまいたくなるけれど、そうじゃなくていいのだ。

おじいちゃんみたいになっている慶喜が、自転車を乗りこなしながら電柱に頭ぶつけるような矍鑠としたお姿になるまで、どんな日々を過ごされるのか。どれだけの無念があっただろう。その諦念の全てが静かに描かれていた。草彅くん、美しすぎる。

って、ここからまだまだドラマは続く... と思っていたら!もう!後2ヶ月ちょいしか残ってないじゃん!

え?これ、来年も続くんだっけ?ここからものすごいバビュバビュ飛ばして行かないと、東証とか設立できるまで行けなくない?!

勝海舟、全然出てこなかったなー、なんてふと思い起こしていたのだけれど、そりゃ描いてる暇ないわ。

昨年の麒麟以上に、今後毎話の密度が濃ゆくなる未来が予想される振り返りでありました。

明日も良い日に。




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