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【行間とは】 銀河英雄伝説 Die Neue These 激突第一章

ここで亡くなった全ての人を悼もう

石黒版や小説では描かれなかった余白部分がふんだんに描かれた回でした。ノイエ銀英伝のこういう試み、とても好き。

「要塞vs要塞」までの、原作小説のあちこちから小さなエピソードを拾い上げながら、2巻まででさらっと紹介しただけだった各キャラクターの過去と未来を深掘りしていく。

なんせ、のっけからユリアンに同年代のパイロット仲間を作ってみせる。

訓練兵時代のユリアンは殆ど描かれることが無かったけれど、彼だって人間だもの。いくら優秀な子であっても、やっぱり初陣は緊張するし、人を殺すことに対しての悩みも出てくる

意地悪な上官との関係性も、戦争とはこういうものだ、という感じがあってとても良かった。今、ウクライナではこういうことが起きているのではないか、と思いを馳せずにはいられない。

また、ロイエンタールとミッターマイヤーがどんな経緯でラインハルト陣営に加わることになったか、を描きつつ、帝国貴族らの腐敗も炙り出す。ついでと言ったらなんなんだけど、その過程で、アンスバッハの株が更に爆上がりしていった。

アンスバッハよ、お前をこんなに優秀だと思う日が来るなんて、小説読んでるだけでは全くもって想像もできはしなかったよ... 

オフレッサーも、ミュッケンベルガーも、時代に翻弄されてしまった人々を少しずつコラージュのように紡ぎ上げていったのが、ものすごく印象的。

それを繋ぐ糸として、オーベルシュタインの犬を使うのはちょっとあざとい気もしたけど、でも、犬登場させないといけないからね、犬。

遅いぞ、ロイエンタール

つ、つ、辛い....

この台詞をここで入れようと思いついたの、誰ですか。あなたは人の心をえぐり取る天才ですか。

ラインハルトという、稀代の天才が改革を推し進めていく帝国のアゲアゲ感と、クーデターを経てどんどん沈んでいく自由惑星同盟の、国としての勢いの差も、あちこちで描かれていた。

公平で公正な専制君主による自由帝国主義なんて、民衆としては一番楽な生き方だろう。やっと得た圧政からの自由に対して弓引くものがいたら、それこそ帝国の民の敵として認定される。アムリッツァで確立された「自由惑星同盟」は、民衆の味方では必ずしもない、という帝国民衆の思いが、更に増幅されるだけだ。

ラストの、ブリュンヒルトの隣に停泊しているバルバロッサの姿にも胸が掴まれた。

バルバロッサはもう、飛ばない。ただそこにいて、ブリュンヒルトの出撃を見送るだけだ。

帰還する際には、ラインハルトはどうしても戦果を上げて帰らずにはいられないだろう。港で待っているバルバロッサに報告できる、戦果を。

しんどみ...

ところで今回の来場者プレゼントは、銀英伝カルタ(5枚)でした。

なかなか良い札が当たって、ご満悦... 

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戦争の一番の罪は、個人の「生きる」自由と権利を奪うことだ。

昨年の映画3部作のエントリーはこちら。



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