【物語とは】 劇団おぼんろ 「聖ダジュメリ曲芸団」
敬愛する劇団おぼんろの新作は、これまでとはちょっと毛色が違う作品でした。
なんてったってむーし狩る!
登場人物の大半が、害虫と呼ばれる虫の数々!
おぼんろ物語の特色である、ダークな大人のファンタシーであることは変わらないけれど、ポップさはいつものマシマシでした。子供でも楽しめるけど、大人が見ると別の次元で刺してくる。ダークでえげつない原作グリム童話みたいな感じです。
海外ミュージカルで言うなら、「ウィキッド」方向。
戦争、政治、正義など、どうしても世情に紐づけて掘り下げたくなるポイントも多いのだけれど、子供の観点から見たら、ノミとかダニとかが楽しく歌って踊って、なんかよう分からんけど、みんなバタバタ死んでいく。実際、子供達の笑い声が終始絶えない公演でした。
みんな、たった一人の人に愛されていれば良くて。その人がどこかで生きていてくれるだけで幸せで。その人が勝手に死んでしまうことが、一番辛い。だから、私たちは生きていなければならない。
そうみんなが思っているだけで、この世はちったあ平和になるのだろうに、そこをかけ違うもんだから、あっという間に諍いが広がってしまう。
これまで末原拓馬さんは、いつも「物語の力」を描いていた。私もそれを信じている。でも、絶望している時に読む物語は、確かに綺麗事ばかりだと感じることがある。そんなこと、あるわけないじゃんって、心のどこかで冷めた目で見ている時がある。
それを、こんなにストレートに言われたら、もうアッパレすぎて笑うしかない。
演者の皆さんが開演前にわちゃわちゃしてくださるスタイル、復活!って思っていたけれど、「ゲマニョ幽霊」でも多少あったか。演者が多いから、復活みが強かったのかな。
汚れた心にお金はとっても悪いものらしいのですが、お布施がわりにきっちりチケット代金払ったから、少しは穢れが落ちたかしら。
あ、個人的なツボは、マダニさんの謎儀式でしたw
明日も良い日に。
これまでのおぼんろ感想集は以下。