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【格差社会とは】 映画「ウェスト・サイド・ストーリー」

Some day, Somewhere,    (いつかどこかに)
We'll find a new way of living,(きっとある)
We'll find a way of forgiving.(新しい生活や許す気持ちは)

冒頭から強く打ち出される、アメリカに根強く残る人種差別や格差社会への視線。そこに、スピルバーグによるリメイクの意味を感じた。

アメリカは、今なお格差社会だ。

いっそインドのような階級社会ならば、そういうものだと諦めがつくのかも知れないが、格差社会ではそうはいかない。なかなか抜け出すことのできない、有形無形の高い壁。対抗する術が見つからない苛立ち。

自分達のこの街角も、奪われてしまう日は近い。

前半のダンスシーンの全てが最高。身体がついつい動いてしまう。映画館なのに。つか、アニータ姉さんまじ最高。

そして、あんなトリッキーなリズムや節回し、譜割りに叙情的な歌詞を載せるソンドハイム、神。(菜々子さん、神〜のイントネーションで)

冗談抜きで、ソンドハイムの歌詞、もっと勉強しよう。

後半、新キャラであるヴァレンティナが歌うSomewhere の歌詞にゾワゾワした。

ん?新キャラ向けに新曲書き下ろした?などと、その時はすっとこどっこいなことを思っていた。んなわけあるかい、既に鬼籍に入っておらるるわい。

違う文脈で歌われていたことを、後で調べて気づいた。

でもヴァレンティナが歌うことで、歌詞が祈りになった。

Some day, Somewhere,
We'll find a new way of living,
We'll find a way of forgiving.

Doc ポジが女性になることで、トニーに母親代わりの人物ができる。しかも、プエルトリコ人とグリンゴでも幸せな結婚が可能だ、という希望の存在として。

ヴァレンティナも、マリアとトニーがカップルになれたなら、人種間の諍いに終止符を打つきっかけになるかも知れないと、待ち受ける困難に気づきつつも儚い夢を見る。

そんな祈りの歌だった。

クライマックスの、アニータを暴行しようとしたジェッツの面々への叱責も、男性よりも町の皆のお母ちゃんであるヴァレンティナからのビンタの方が苦しみが深かった。

それにしてもこの女優さんはどなた?とエンドロールを確認して、変な声が出た

リタ・モレノじゃありませんか!

いやマジでびっくりした。

リタ・モレノがこんな形で出演しているなんて、全然知らなかった!ってか、全然気づかなかったよ、私。

そう思うと、新旧アニータが共演する唯一のシーンが、アニータの嘘という悲劇の引き金のシーンだなんて、なんというむごい脚本なのでしょう。(褒めてます)

周回遅れも甚だしいけれど、見られてよかった。

周回遅れをダメ押すように、公式サイトはすでに円盤販売サイトになっていた。

劇場鑑賞、間に合ってよかった…

明日も良い日に。


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