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492/1000 【現は波】 舞台 「子午線の祀り」

現(うつつ)は波。

現(うつつ)は月。

人は惑う。月に突き動かされて。

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三日月形の舞台は、時に人に作用する月そのものになり、時に潮に翻弄される船縁を表し、はたまた潮の満ち引きが起こす波ともなる。

2つに割れて源平の対立や戦況の潮目を打ち出すこともある。

人間感情は流れ、運命の干満も揺らぐ。

感情は波。

体内を疼かせ、体外にうねりを迸らせ、それが誰かに当たってまたこちらに打ち寄せる。

永遠に続く感情の連鎖。

運命も波。
満ちては欠け、そしてまた満ちてゆく。

重力もまた、宇宙からの波。
海はその波動の記憶の記録。

平家もまた、その海の一部。

平家への鎮魂歌が群読という形で謡い挙げられていく。

漣のような笑いを時に誘いながら、最後に渦潮は多くの命を吸い込んでいく。

成河さん義経のジャンプの対空時間の長さよ。この人は、もしかしたら重力という波に抗う術を得たのではあるまいか。

たぎる血潮を迸らせながらも、その波に呑まれることなく兄上のために海を制する義経。

潮の作用の静かな狂気。3 月だからか、そんなことばかり思ってしまった。

下書きに残したまま、時はもう5月。

もう何度、月は満ち欠けを繰り返したろう。

明日も良い日に。




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