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水を止められたこと、ありますか?

数日前、シャワーの後ろの壁の奥から水が流れるようなシャーという音がするのに気づき、
すわ水漏れか!?と慌てて管理人さんに連絡すると、我が家のシャーを見に来た管理人さんはのんびりとした様子で

「水とは限りませんからねえ・・・」

とおっしゃった。

うん、確かにどこからか水漏れしている気配はない。
だけどシャーという音は相変わらず続いている。
私にはどう聞いても水が流れる音にしか聞こえないけれど。
しかしそれは主観的なもので、水じゃないかも?と言われれば
実際壁を開けたわけではないので、まあそういうものかもしれぬ。
なぜかお風呂場の床の一部分だけ乾かずに濡れているのが気になるけれど。

その日はもう夕方というには遅い7時過ぎのことだったので
次の日専門の業者さんに連絡してくれるということで決着した。

私がこんなに慌てるのにはわけがある。
それは先日我が家のマンションの上層階で、配管の経年劣化により
大規模な水漏れが起こり、廊下が排水で水浸しになるという大惨事が起こったのだ。

廊下だけならまだしも、数階下の部屋まで天井から水漏れがするという大被害。

もし今聞こえてるシャーという水がどこかに溜まっていて
一挙に水漏れしたら???

考えるだけでおそろしい。

幸か不幸か、その水漏れ事故が先日起こったために、水道の専門業者さんや
マンションの設計会社の人などが頻繁に出入りしていて、翌日すぐ見てもらえることになった。

とりあえずはよかった、と安心していたのだが、
夜9時頃になってこの謎の「シャー」はだんだん大きくなって
とうとう別部屋にも聞こえるぐらいの大きな音になった。

こ、こわいよー!!!

もう一度お風呂場に見に行く。
しかしこの大きな音以外これといって変わったところはない。

朝までのがまん。朝までのがまん。

と思ってその日は寝ようと思ったが
あまりにシャー音が大きいので、洗面所のドアを閉めた上に
この音が聞こえると不安で仕方がないので耳栓までして寝た。

そして次の日。

水回りの専門業者、設計会社、そして管理人さんまで総勢5人の男衆がやってきた。

彼らはそれぞれに色々色々見て、

「壁の裏の共用スペースの配管に原因がある場合、みずたまさんちのお風呂の壁をはがして中の配管を修理することになりますね。」

といとも簡単に言った。

そういとも簡単に!

「えーっ!それは外側からは直せないんですか?」

と聞くと、おもむろに我が家の間取り図を広げ、

「無理です。」

とこともなげに言う。

彼らが調べてわかったことは、幸いにも床下には水はまわってなさそうなこと。

まあ、幸いといえば幸いだろうが、もしこの暑い時期にお風呂が使えなくなったらどうするんじゃい!?

という心配の方が私の中には先立った。
頭の中でぐるぐる試算していると

「でも一度みずたまさんちの水、止めてみますね。このシャワーの配管から水漏れしている可能性もありますからね。」

ということで、水を止めてみると、ああら不思議。
シャー音が止まった。

ということは???

「ああ、シャワーの配管かもしれませんねえ。でもここからはお風呂の専門業者じゃないとわからないです。」

今度はお風呂業者かい・・・

げんなりしていると、管理人さんが

「私の方で業者さんにすぐきてもらうように連絡しておきますよ。
でもこのままだと水が流れっぱなしになってしまうので、水は止めたままにしていいですか?」

とおっしゃった。

うん、水の流れっぱなしは困る。
困るが、水を止められるのも困るー!!!
が、背に腹は代えられない。

「すぐお風呂業者さん来てくださいますかね?ずっと水を止められるのは困ります~!」

と訴えると

「早急に来てもらえるように手配しますね。」

とおっしゃってくださったので、お任せすることにした。

さあて、どうしたものか。
時は土曜日のお昼時。

朝から業者さんたちが出たり入ったりしていたので、ごはんの用意もしていないし、それより何よりトイレ、そして手洗い、歯磨き、お風呂!

考えれば考えるほどげんなりする。
が、考えてもどうにかなるわけでもない。
とりあえずお昼を食べよう!お昼!
外食だー、外食だー!

ちょうどお嬢が学校から帰ってきたので、彼女を伴い、美味しいと有名なラーメンやさんに私たちは並んだ。
並びながら事の顛末を話す。

「ええーっ!?今日トイレもお風呂入れないの?それは困ったね。」

そうなのだ、ワトソンくん。
私は大変困っている。
しかしお風呂の設備業者さんが来るまで何も手立てがない。
しかも来ていただいたところで今日直る保証もない。

「これは提案なんだけど。」

蛤の出汁でとった澄んだ塩のスープに自家製の柔らかく、淡いピンクが美しい鶏ハムが載った細麺のラーメンをすすりながら私は切り出した。

「今日は銭湯に行ってみない?」

「銭湯?」

「そう、銭湯。」

「行く!」

みるみるうちにお嬢の顔が好奇心でいっぱいになった。

我が家の近くにはラッキーなことに昔ながらの銭湯がある。
今まで一度も行ったことがないケド。

しかし銭湯のことを頭に思い浮かべたら、なんだかほんわかした気持ちになった。

それはまだ幼かった子供の頃、祖父母の家に行くと内風呂があるのにも関わらず、必ず祖父が

「みずたま、銭湯に行くぞー!」

と行って私を連れて行ってくれた記憶がよび覚まされたからである。

ケロリンの黄色い桶。
大きな富士山の絵のあるお風呂。
お風呂を出た後のビン入りフルーツ牛乳。
どれもこれも懐かしい昭和の一コマだ。

「じゃあ、もし今日家のお風呂に入れなかったら銭湯に行こう!」

私はお嬢と約束をした。


備忘録のために書こうと思ったら、思いの外長くなってしまいました。
続く、はず💦



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