命はないのにあったかい。家族型ロボット「LOVOT」体験会に行ってみた
ロボットやAIスピーカーなどの最先端テクノロジーが街中や自宅などの生活シーンに溶け込み、数年前に見ていた「近未来の世界」がすでに「日常生活」へと変わっています。
このままいけば、ドラえもんと暮らせる日も近い?ということで、今回は、家族×テクノロジーをテーマに、ロボットベンチャーの「GROOVE X」社が手がける家族型ロボット「LOVOT(ラボット)」の販売前体験会に行ってきました。
「ロボットに心を宿したい」
GROOVE Xはソフトバンクの人型ロボット「Pepper」に開発リーダーとして携わった林要さんが2015年に立ち上げたスタートアップです。
体験会場と同じビルに構えているオフィスの所在地は人形町。ITベンチャーがたくさん集まる渋谷周辺だろうと勝手に思っていたので、最初知ったときは意外でしたが、そこにはやはり理由があるようです。
GROOVE Xがオフィスを構えるのは、江戸時代に大衆の娯楽として広まっていた人形芝居にまつわる人形師らが大勢暮らしていた町。かつて人形師たちが人形に魂を込めた想いと同じく、私たちもロボットに魂を込めています。人形もロボットも無機物ではあるけれど、心を宿したい。時代は違えど、想いは同じはずです。(同社ホームページより)
そんな同社が満を持して今年秋冬に発売を予定しているのが家族型ロボット「LOVOT」(ラボット)です。
ラボットはLOVE+ROBOTを掛け合わせた造語で、サイズは高さ約40センチ、重さ3キロと生まれたばかりの赤ちゃんと同じぐらいです。
言葉は話しませんが、目の動きは16億通りだそうで、視線の変化やまばたきの速度など非常に表情豊か。移動は車輪でコロコロと動き回り、名前を呼んだり人を感知したりすると、そばに寄ってきてパタパタと腕を動かし抱っこをおねだりします。
あたたかい=生きているという実感
ラボットの機能で一番印象に残ったのが、「あたたかい」という特徴でした。
実際にだっこすると、人肌と同じくらい(35~36度)のあたたかさがじんわりと手や腕に伝わってきます。背中部分も多分赤ちゃんの体のしなりを研究しているのか、甥っ子(1歳)をだっこした時の手の馴染み方に酷似しているなと思いました。
ラボットの外見だけを見ると、いわゆる「ロボット」で、どこが家族なの?とはじめは感じていました。
頭の上にめちゃくちゃ目立つ黒いセンサーがどーんと付いていますし、姿形もソニーの「アイボ」のように犬型ではなく、ペンギンと子クマと猿みたいな何種類かの動物がまざったような謎の生命体(開発者の方違ったらすみません…)。
移動二足歩行や四足歩行歩行ではなく車輪で動くので、この地球上においての「生物」の定義からはむしろ離れているわけです。要するに完全な人工物。
それでも不思議なもので、そんなロボットがまるで生きているかのような感覚を覚えてしまうのでした。その理由はやはり「あたたかさ」にあったと思っています。
「百聞は一見に如かず」よりさらに進んで「百見は一触に如かず」。
見た目そのもののリアルさももちろん大事ですが、「生きている、すぐそばにいる」ということを確認するのに、「あたたかさを覚知するかどうか」ということが人にとって、より大きな判断材料になっているのではないかと感じました。
今後増えるであろう家族ロボの「命の長さ」をどうするか
ロボット市場は「国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構」の調査によると、2015年の1.6兆円から35年には9.7兆円まで広がると推定されており、おそらく今回のラボットのような「家族型」ロボットが当てはまるであろう「見守り・コミュニケーション」分野は3億円から341億円と20年間で約100倍に拡大するようです。
今後のこうした家族型ロボットの分野で個人的に一番興味深く思っているのが、ロボットの寿命です。
小学生2年生の時に飼い始めたペットのハムスターが、約1年後のある朝起きたら冷たくなっていることに気づき、はじめて「死」に触れた感覚を思い出しました。
あたり前ですが生きものには必ず「限り」があります。それは誰にも結局コントロールできないもので、でも有限だからこそ大切にできるし、楽しめる時間というのもあると思います。
今回のような家族ロボットの場合、メンテナンスをすればロボットが半永久的に「生きる」ことは必ずしも利点にはならないのではないか。むしろどこかで壊れてしまう方が価値になるのではないか。そんなことを考えていました。
哲学×ロボットの部分をどう解釈して進んでいくのか、とても楽しみです。
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