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算命学余話 #R3「常に逆を見る」/バックナンバー

 英国が国民投票の末EU離脱を決めましたが、世間では「感情に流された」とか「どうせ残留になるだろうと思っていた人たちがよく考えもせずに離脱に投票した」とか、否定的な評価が多いようです。皆さんはどうでしょう。
 私は離脱派が勝利したと聞いた時「英国民もやるじゃないか」と見直しました。理由は簡単です。これで事態に「変化」が生じるからです。算命学者としては、停滞より変化を歓迎するのは当然です。EUに残留したところで事態は何も変わりません。反移民感情やテロリスト対策、格差問題など山積する当地の社会問題は、このまま放置していても改善しません。とはいえEUを離脱したからといって改善する保証もないのですが、少なくとも刺激にはなりますし、その刺激によって解決のための新たなアイデアが生まれるかもしれません。そういう意味で、算命学の観点から「停滞を打破する変化は吉」なのです。尤も、算命学も天中殺の期間は変化を避けるべきと考えています。英国という国家に天中殺が適応されるとは思えませんが、仮に英国民の命式が偏っていて目下天中殺中の人たちが大勢を占めていた場合は、今回の決断は凶となることでしょう。
 そういえば、今年初めの年間予想に、難民や生活保護者といった「マジョリティの厚意に甘える立場の人々」には厳しい一年になるでしょう、というような内容を書いたと思います(余話#U109参照)。あの時は生活保護という甘い汁を目当てに海を渡る不心得者の移民申請者にこの種の試練が降りかかると予測していたのですが、今回の国民投票に際してクローズアップされた英国民、特に労働者の実態というのは、ろくな努力もせずただ英国に生まれたというだけでその国家資産つまり先祖が築いた財産を享受し、その結果怠惰に溺れ、低賃金でもよく働く努力家の移民に職場を奪われて不満を募らせたものだという評価が一般的なので、「あ、こっちの意味だったのか」と手前味噌ながら目からウロコが落ちました。

 いずれにしても、停滞には限界があり、膿の溜まった腫れ物はいずれ皮が破れますから、重症化する前にメスでつついてピュッと膿を出してやる方が、いっときは痛くとも傷は浅くて済む、というのが算命学の考え方です。従って、天中殺という注意事項を除けば変化は吉兆であり、いま騒いでいる世間に対し「何を慌てているのか」と真逆に眺めているのが算命学者の正しい姿勢ということになります。
 こうした姿勢から算命学は天邪鬼だと言われることがありますが、根本思想に陰陽論があるので当然です。陰ばかり見ていては陽が疎かになりますし、逆も然りです。特に世間が陰なり陽なりどちらか一方に振れた時は、その方向へ引きずられずに逆を向くよう習慣づけた方がいいでしょう。陰陽を天秤に掛ける算命学は、常に陰陽の中間に位置していることが望ましいのです。鑑定の実践でもこの姿勢が活かされることになります。

 さて今回の余話のテーマは、このところ技術的な話が続いたので、一部の読者が喜ぶ思想の話に戻ります。算命学余話の読者は鑑定実践に活かせる技術を得たい人の方が多いので、思想の話を予告すると大抵読者数が減るのですが、それでもいつも同じ読者数が確保されているので、恐らく同じ顔ぶれの人たちが毎回購読されているものと思われます。有難いことです。なぜなら余話の思想話というのは、実生活に活用できるからです。技法の話は鑑定の現場にしか活かせませんが、思想の方は日常のストレスを軽減し、諸問題を解決する知恵を磨くツールになるので、毎回読めば有料鑑定に匹敵する効果があると自負しております。
 余話の執筆も有料鑑定も同じ人物が行なっているのですから、内容に矛盾はありません。却って、一読して読み返さない依頼人も多い有料鑑定より効果が高いくらいです。なにしろ自助努力が生活習慣の一部となるわけですから。

 というわけで、今回はブログで無料公開するには少々憚られる諸問題について、算命学の思想に則した見解をいくつか並べてみます。お題目は「常に逆を見る」。算命学の思想と私個人の思想は100%一致しているわけではないので、その相違の比較からどちらが現状に則しているかの判断は読者に委ねます。
 毎度繰り返しになりますが、算命学は鵜呑みにする対象ではなく、自然現象に則して自ら考えるよう習慣を促す思想です。私も常に試行錯誤にあれこれ考察し、この考えは当たっているようだ、こっちはだめだった、それはまだ結果が出ていないから保留中、というように日々実生活に当てはめては自分なりの結論や保留事項を積み上げています。その作業に終わりはありません。それは宿命を持って生まれた人間が、命を終える瞬間まで人生に結論を出せないのと同じです。余話の思想話がお好きな読者は、恐らくこの点をよく承知しているのでしょう。そうしたわけで、今まで思想話が好きで読まなかった読者の方たちには、一見して単なる世間話にしか聞こえないかもしれませんが、この種の話にわずかでも興味を持ってもらえればと思います。

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