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【02】アウトプットを変えるために知っておきたいこと

言動動作学キーワード2「知覚行為循環」

前回は動作学の3つの基本的な概念のうちのひとつ、「動的平衡」について、ポイントを簡単に解説しました。

今回は、2つめの概念「知覚行為循環」について説明します。

知覚行為循環とは、平易に言い換えると、すべての出来事は「インプット・プロセス・アウトプットという循環の中で起こる」ということです。

この場合のインプットとは、勉強をして知識を習得するとか、特定の栄養素を摂取するというような狭義の意味ではなく、今この瞬間にあなたの周りで起こっていること、あなたの体内で起こっていること、すべての情報を入力している、という意味です。

たとえば今、あなたはパソコンかスマホの画面でこれを読んでいますよね?もちろん読んで情報を得ることそのものもインプットでありますが、今のあなたの視覚の中にはあなたが注目はしていないけれど映っているもの(机や壁、窓)もあるはずで、それもすべてインプットされているんです。

もちろん、視覚だけでなく、今いる場所の温度、周りから聞こえる音、手に持つスマホの感覚(あるいは画面をスクロールするマウスの感覚)、座っている椅子の座り心地などもインプットされていますし、胃の中に食べ物はあるか、体内の水分はどのくらいかといった体内で起こっていることの情報もインプットされています。

今こうしている間も、意識できるインプットと、意識できないインプット、すべてを情報としてインプットして、それらを脳が処理(プロセス)するということが常に起きているんですね。

そして、そのインプットとプロセスの結果として出てくるのがアウトプットです。

ここでいうアウトプットは、何かを成し遂げたとか、何かを表現するという意味よりもっと大きな概念。あなたの行動、感情、症状、パフォーマンスといったもののことを意味します。

アウトプットは変えられない

この知覚行為循環(インプット・プロセス・アウトプット)の概念でポイントとなるのは、私たちの行動、感情、痛みなどの症状、仕事のパフォーマンスの良し悪しといったことはすべてアウトプットであるということと、出てきたアウトプットは変えられない、ということです。

いやいやいや、変えたいことがあるからこれを読んでいるのに、変えられないって無責任な!

でも、実際問題、変えたいと思っているのになかなか変えられないこと、皆さんも経験ありませんか?

たとえば、早起きを習慣にしたいのにできない、とか、甘いものを控えようとしているのにやっぱり食べてしまう、とか。

全部が全部とは言いませんが、変えたくて努力しているのに変えられないのは、もう出てきてしまったアウトプットをどうにかしようとしているからかもしれません。

じゃあ、もう変わらないと諦めるしかない?

もちろんそんなことはありません。

もう出てきてしまったアウトプットは変えられないけれど、インプットとプロセスを変えることで、この先に出てくるアウトプットは自然と変わるんです。

というより、インプットとプロセスを変えることでしかアウトプットは変えられないんですね。

たとえば、なんらかの理由で子どもにイライラしてしまったとしましょう。

知覚行為循環(インプット・プロセス・アウトプット)というレンズを通して見ると、イライラはアウトプットとしてもう出てきてしまったことだから、変えようがありません。

「イライラしたらダメ!」と出てきた感情を否定して自分を責めても変わらないとしたら、責めるだけ損と思いませんか?

では、代わりに何ができるでしょう?

先ほど述べたように、私たちはインプットとプロセスの部分については変えることができます。

この例でいえば、出てきてしまったアウトプットをどうインプットするかは自分で変えられるんですね。

具体的に言うと、「イライラしちゃダメ。もっと心を広くもたなくちゃ!」と否定的に捉えるのか、「まあ、人間だもの、そういうこともある」と肯定的に捉えるのか。

言葉にすると似ていますが、どう捉えるかで、インプットは変わるんです。

さらに言うと、なぜイライラしてしまったのか、その原因には自分が知らないうちに持っている思い込みが関わっていることも多く、そこに気づくと、プロセスの部分も変わります。

このようにインプットとプロセスを丁寧に見直していくことで、以前と同じ状況でも今度はイライラしなかった、というように自然とアウトプットが変わってくるのです。

もちろん、イライラも揺らぎにすぎませんから、イライラしたらダメだという話ではありません。

言いたいのは、変えたいと思っているのに変えられていない自分の行動、感情、症状、パフォーマンスなどがあるなら、インプットとプロセスに着目しましょう、ということです。

自分一人では何も起こせない

知覚行為循環(インプット・プロセス・アウトプット)の考え方でもうひとつ押さえておきたいのが、アウトプットは自分一人で生み出しているものではない、ということです。

前述したように、アウトプットとは、ありとあらゆるインプットをプロセスした上で出てくるもの。

ありとあらゆるインプットとは、個人だけでなく、環境も含めたすべての掛け合わせですから、この世界に自分一人で完結して起こる物事というのはひとつもないのです。

これを言い換えると、何か改善したいことがあって、それに向けてどんなにがんばっても、自分一人ではどうにもならないこともあるということ。

逆に、自分一人で孤軍奮闘しなくてもどうにかなってしまうこともあります。

良い・悪いではなく、そういうものである、というだけ。

自分という個人の状態は外部のあらゆる影響を受けているし、自分の状態がまた外部に影響も与えている…その視点で自分と自分を取り巻く世界を見直すと、今までとちょっと感じ方が変わってくるのではないでしょうか?

知覚行為循環について押さえておきたいポイント:
・人の行動、感情、症状、パフォーマンスといったものは、その人の外部の環境と内部の環境のすべてのインプット情報を脳がプロセスした結果として出てくるアウトプットである。
・出てきてしまったアウトプットはもう変えられないが、インプットとプロセスにアプローチすることで今後出てくるアウトプットは変えられる。