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人生には、バンジージャンプしなきゃいけない時がくる!(後編)

前編中編の続きです。まだお読みでない方はぜひお読みいただいてから後編にお進みください。

「人のリアクションを狙って書くのではなく、己のパッションで書け」

「そのために、ターゲット設定をやめてみよ」

ここまでの川尻隆*の話をまとめると、やることはシンプルにそれだけ。

でも、私は怖くて仕方がありません。

どれだけ怖いって、バンジージャンプを命綱なしで飛ぶくらい怖い。

そんな大袈裟なってツッコむ冷静な自分もいますが、でもそれくらい本当に怖かったのです。

なぜそんなに怖いのか?

もちろん、一つは、これまで25年もやってきた書き方と全然違う書き方をする、つまり自分のコンフォートゾーンを出なきゃいけない怖さ。

でも、もっと怖いのはこれでした。

己のパッションで書いたもの、すなわち剥き出しでさらした自分の情熱が誰にも受け入れられないかもしれない怖さ。

ターゲットを設定して書く時は、私と私の書いたものの間には明確な線引きができるから、反響がイマイチでも痛手は少ないんです。

でも、誰に読まれるかを想定しないで、己の中から湧き出てきたものをただ書くって、要は丸出しの私をさらすようなもの。

丸出しの私が誰からも「スキ」されなかったら?

あからさまにビュー数が減っちゃったら?

手厳しい意見をもらっちゃったら?

私はそれが怖かったのです。

…これがプライベートなSNSだったらまだやりやすいんです。

だって、私のSNSを見るのはお友達か、そうでなかったとしても私個人のSNSであることを承知の上でフォローしてくれている人しかいないから。

でも、これは動作学のマガジンです。

動作学に興味がある、あるいは何らかで動作学の情報を求めている人のための読み物であって、私の情熱など読者にとってはどうでもいいのです。

というような心情を吐露すると、川尻は言いました。

「これは動作学のマガジンだから…って考えている時点ですでに読者を想定しているやん。今まで話してきたこと飛んじゃってるやん。

繰り返すけど、対象は世界や。世界に対して、『こんな学びがあったよ、ありがとう』って感じで書けばそれでええねん」

そんなの、どこの誰が読みたいんですか!?

我ながら自分の抵抗がしつこくて自分でもびっくり(笑)。

川尻は続けました。

「バンジージャンプのハードルを下げるには、世界に対する信頼度を上げることや。

世界に対する信頼度が高ければ、失敗してもいいと思えるし、どんなチャレンジをしてもいい結果になると思えるようになるから」

川尻の話の要点はこうです。

・多くの人が、「こうでなければ愛されない」「こうでなければ存在することを許されない」というマインドセットでいる。それはさまざまな理由で世界を信頼できていないからである。

・でも、だからこそ、いかに世界を信頼するかが問われている。世界は愛で、どんな自分であっても愛されているし存在を許されている…そういうふうに、世の中、社会、人生に対する信頼を自ら高めていくことが大事。

聞きながら、私は考えていました。

今、川尻がしてくれているのは動作学でいう「前提」の話だ、と。

「世界は愛であって、どんな私も愛されているし、許されているし、どんなチャレンジをしてもその結果は自分にとって最善でしかない」

それを信じられるどうかはまったく関係なく、ただそういう前提で行動してみろ、と言われているのです。

1)前提に基づいて行動することで前提に基づいた経験をする
 ↓
2)前提に基づいて経験をするから前提を信じるようになる

という順番なのです。

かつて自分でそう書いたではないか。

参考記事:【28】人は、前提をもとに経験する

つまるところ、私が世界を信頼して、パッションのままに己をさらけ出してみることをしない限り、私が己をさらけ出しても大丈夫な世界は永遠に実現しないってことです。

というわけで、追い詰められた私は、ついにバンジージャンプを飛ぶ決心をしました。

この先、毎回、バンジーに挑戦し続けたら、私の世界はどう変わるのか?

動作学のこのマガジンはどう進化していくのか?

私が意識できる部分では今は「???」でしかない、けれど、きっと最善でしかない、挑戦という名の実験をここから始めたいと思います。

*川尻隆:アスレチックトレーナー。SASS Centrum, Inc代表。旧ソ連や旧東ドイツの研究にルーツを持つ動作学を発展させて新たな学問の創出に尽力している一人。動作学を用いた組織マネジメントのコンサルタントとして、横浜DeNAベイスターズでチームビルディングや組織改革も担う。