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【#1】ご挨拶と導入

しがないサラリーマンです。名前は何にしようかと思って・・・とりあえず「観察者」としておきます。

今は変な会社というか、変になった会社、沈みゆく泥舟な感じの会社で働いています。転職すれば?と終われるかもしれませんが、新型コロナで景気も悪く、変な会社になってしまったからと言って、転職するにも業界が特殊で、同業種だとあまり行くところがありません。業界全体がほぼ知り合いという狭い世界です。そこから飛び出すにしても、もうアラフィフだし、業界を変えてまで転職するのも大変だな〜と思いながら、それなりに給料も貰えているから、しばらくは我慢しながら働らこうかなと決めたところです。

でも、ただ不満を溜めながら働くのもなんだかな〜と思って色々考えてみると、この会社は、あと20年ちょっとで創業100周年を迎えます。老舗なので、絶対に「〇〇社100年史」みたいなのを作ると思うのですが、その時に現在のアホな状況を記録しておいたら、めっちゃくちゃ面白いことになるんじゃないかとヒラメキました。しかも、変な会社にしてしまった今の役員たちは現在70前後なので、20数年後には全員死んでると思います。そいう経緯で、ここに沈みゆく泥舟から見た風景を記していきたいと思っています。

まず、働いている会社がひどい年功序列でした。それはよくあることだと思います。ただ、今の社長に変わってから、定年になっても行くところがない、いわゆる吹き溜まった高齢者が年功序列的にみんな取締役?役員?になってしまうという、超絶変な状況になってきました。

よく巷で言われる「働かないおじさん」ではなく「働かないおじいさん」が10人くらい役員をしています。働かないので、会社がどんどん衰退してるのですが、ラッキーなことに、業界への参入障壁がめちゃくちゃ高く、先人たちの残してくれた商品がかろうじて生き残っているので、なんとかかんとかやっていけています。しかも、一般社員の給料は地域で噂されるくらい安いのですが、役員報酬は年間数千万円あるので、一度経験すると辞められなくなるようです。僕が入社してから今まで、自分から勇退した役員は一人もいません。ほぼ100%が、人間関係で辞めさせられる。数人が体調不良で辞めて、辞めた途端すぐに死ぬというような感じです。

それでは、最初に、このどうしようもない状況を作っている社長について紹介します。今の社長になって6〜7年経ちますが、この経緯がまずドラマチックでした。

当時、前社長が会社を海外の会社に売り払おうと画策していました。株式会社なのですが、株式は公開していなくて、一部の人たちだけが株を持っているという状態でした。その株と議決権の関係が、創業した70年くらい前からアップデートされていなかったので、ガバナンス的に非常に脆い状態になっていたようです。その隙をついて、前社長が外部の事業売買しているブローカーのような人たちと一緒になって、会社の知財やノウハウを海外の会社に売ろうとしていました。ここの情報は詳しく得られなかったので、曖昧なのですが、その紹介料やなんやらで、個人的に利益を得ようとしていたようです。

その時に、自分が社長をしているときにハンコをついてしまうと、自分が会社を売った、ダメにしたという汚名を被ることになるので、新しい社長を指名して、彼にハンコを押させようとしました。その指名されたのが、今のK社長です。当時は、他にまともな役員がいたのですが、まともな人間だとハンコを押してくれません。だから、白羽の矢が立ったのがK社長でした。

彼は、絶対に上司には逆らいません。上司がいると、会議で発言することもありません。何を言われても、絶対に話さず、下を向いて目を閉じています。言われたことに賛成だけ表明します。もちろん仕事はできないのでずっと平社員だったのですが、同期の優秀な人たちが他社に引き抜かれて、完全に空白になった世代にいたので、一番最後に管理職になって、その後、たまたま年功序列と人数合わせ的なチャンスが巡ってきて役員になったという経緯があります。ある意味、持っている人ではあります。

余談ですが、本人はバレていないと思っていますが、カツラをかぶっています。なのでK社長としました。カツラのKです。今は高級なカツラになったので分かりにくくなっていますが、以前は髪が植えてある網の繊維?(網目のようなもの)が見えていたり、つむじの部分が黒い布で覆われているのが後ろから見えたり、襟足のあたりの髪がうまく調整できていなくて、禿げた後頭部の地肌が一部透けて見えていたり、誰も指摘しませんがひどい状態でした。何より一番びっくりしたのは、髪が薄くなって頭頂部が禿げていたのに、ある日突然黒々した髪で出勤してきたのが一番の衝撃でした。バレバレでしょ!って。しかも、カツラなのに、その上に帽子をかぶって出勤してきます。帽子を脱いだ後に、ブラシで髪を整えるのですが、カツラの網目に引っかかるのか、ガリガリガリと普通は頭からそんな音はしないよというような音を鳴らしながら、髪を整えます。そういう状態でもバレてないと思える、頭が悪いのか心が強いのか、よく分からない人なのです。

話を戻しますと、おそらく当時の役員の中で、一番仕事のできない、何でも言うことを聞くヤツだということで、新しい社長に指名されたのだと考えています。乗っ取るためには優秀な社長では難しい、いちばん馬鹿で何でもいうことを聞く奴が必要とされていました。しかし、ここでファインプレーがありました。K社長の一生で一度のファインプレーでした。ホテルの部屋に呼び出されて、前社長とブローカーに囲まれて、いくらハンコを押せと言われても、黙って下を向いて目を瞑って、何もしなかったそうなのです。ホテルの部屋に2時間も3時間も閉じ込められて、ハンコを押すように言われても、ずっと何も言わず、黙って下を向いて目を瞑って動かなかったようです。「契約書を持って帰って考えます。」とだけ言って帰ってきたそうです。

結果として、会社の乗っ取り騒ぎは何とか回避されることになりました。

この後、乗っ取ろうとしたけれど乗っ取れなかった人たちから嫌がらせが続きました。取引先などに、怪文書が流されたこともありました。その中で、社内で違法なことをしていたことが明らかになります。違法なことしていたというよりは、法律で定められた手続きをしていなかった会社を相手に取引をしてしまったというのが正確です。それを告発されて、新聞に報道もされました。経営者の責任が問われましたが、うつむいてじっとしている戦法を使って、何の責任も取らずに逃げ切ることに成功しました。2年くらいはゴタゴタしていましたが、何か言われたら亀になって、ひたすら耐えるという方法で全て逃げ切ることができました。

ここで、すごいなと思ったのは、日本の会社は、株が公開されていない場合に、社長を辞めさせる手段がないということです。株を持っている人たちに、高額な手当(報酬?給料?)を約束して、自分を辞めさせないという確約を取ってしまうと、誰も社長に手が出せないということを知りました。取締役会や株主総会では、反対派から何を言われても、ひたすら黙って、目を瞑って、うつむいていると、どうしようもないそうです。最終的に、周囲が疲れてしまって、どうしようもなくなるそうです。何か方法があるのかもしれませんが、今のところ状況は変えられないようです。

その場にいなかった僕からすると、「何も言わないのは同意ですね?退任でいいですね?」と進めていくことができないのなと思ったりしますが、難しいのでしょうか。法的な制限があるのでしょうか。株主を抱き込んでると、結局は議決されてしまうので、そう簡単にはいかないのでしょうか。僕は取締役会や株主総会には参加できないので、本当の中身は分かりません。漏れ聞こえてくる情報をつなぎ合わせると、とにかく、辞めさせることは難しいそうでうです。この状況が、5年以上、ずっと続いています。

さらに、そのような成功体験を得たことで、ズル賢い知恵がついて、キーパーソンを抱き込みながら、現在まで辞めさせられることもなく、独裁的な状態が続いています。続いているというよりは、独裁的な状況が強化されてきています。しかも、2年に1回の役員人事に合わせて、株を持っている人たちを接待することで、誰に邪魔されることもなく、社長を続けています。今のところは。

ただし、もちろんK社長は仕事が全然できないので、経営判断はできないし、責任を取りたくないから決断からは逃げてばかりです。今後書いていきますが、年功序列で吹き溜まった役員が多いので、社長をサポートできる人もいません。会社に来て1日中喫煙室でぶらぶらしてる役員、リモートワークだなんだかんだと理由をつけて全然会社に来なくなった役員、見回りだと言って業務時間中に午前午後1時間散歩に出かけてしまう役員、会社の経費で女子社員を出張に連れていきたがる役員、前の会社でうまくできなかったからといって自己実現に一生懸命な役員。そんな会社がうまく回るわけもなく、ジリジリと売り上げが下がってきています。参入障壁に守られていなかったら数年でなくなる会社だと思いますが、今のところ割と何とかなっています。K社長が自分の立場を守るために、ある意味で粉飾決算的なこともしていましたが、新型コロナでそういうこともできなくなってきて、どんどんメッキが剥がれてきています。

ということで、山口周さんの『劣化するオッサン社会の処方箋 なぜ一流は三流に牛耳られるのか (光文社新書)』と細谷功さんの『会社の老化は止められない。 宿命にどう立ち向かうか (日経ビジネス人文庫)』を読んだところ、めちゃくちゃうちの会社!って思いました。一時期は、何でこんな馬鹿な奴らが!と憤ったり、早くまともな会社にならないかなあ〜と思っていたのですが、今はそういう状況をニヤニヤしながら観察するのが楽しくてたまりません。

以上で、ご挨拶と導入を終わります。少しずつエピソードを紹介しながら、2冊の本を引用して、現状を分析できると面白いなと考えています。


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