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スケベ出来なかった夢

 今まで生きた中で、一番スケベな夢を見た。なのに、最後まで至ることなく目が覚めてしまった。本当に悔しい。直接的な表現は下品なので避けるが、オレの愚息は夢で涙したことがない。リアリストめ。初めてそれを体験出来そうだったのに、人生そう上手くはいかないものだ。

 夢の中のオレは学生で、修学旅行中だった。そのコースの一環として、同い年の女子柔道家が出る試合を観に来ていた。畳でなくリングが据えられた会場と、対戦相手のヤンチャそうな男子キックボクサーを見る限り、どうやら異種格闘技戦らしい。

 本来、オレの座席は、応援する女子柔道家サイドのはずだった。しかしながら、会場に慣れておらず、相手側の客席に迷い込んでしまった。そこには、ストリート系の人たちがわんさか居る。ビビって抜け出そうとしたオレは、誰かに手首を捕まえられた。犯人は、エキゾチックな褐色肌のギャル。怯える表情を面白がってか、ギャルはもう片方の手で股間を弄ってきた。オレも男だ。最初こそ嫌がっていたものの、快感には抗えない。そこで「どうせ卑猥なことをするなら」と、宿泊先の旅館へ誘った。

 ギャルは、割とすんなりついて来た。ハイパースケベチャンスに鼻息も荒くなる。部屋に着いたオレたちは、物凄い勢いで事を始めようとした。だが、そのタイミングで悪いことを思い出した。そこの押入れには、会場に行かなかったオタク同級生が籠城していたのだ。気付いた時にはもう遅い。

 ジリリリリリリリッ! けたたましい音が旅館中に鳴り響く。なんと、その様子を覗き見たオタク同級生が、押入れ内にある警報ベルを押しやがったのだ。「不純異性交遊はダメかと思って」じゃねえよ、バカ。

 その音がキッカケで、現実世界に引き戻されてしまった。ちくしょう。そう言えば、夢は全てサイレントかと思っていたけど、今回みたいなラストを迎えるケースもあるのか。奇しくもムセイではなかったわけだ。うるせ〜。

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