千人伝(百十六人目~百二十人目)
百十六人目 老裸
ローラ、は裸の老人が大勢住む町で生まれた。男も女も老人になると皆裸になりたがるのだった。暑い日に痩せた夫と豊満な妻の老夫婦が互いに上半身裸で手を繋いで歩く横を、全裸で腰の曲がった老人たちが陽の光を全身で吸収しようと、集団で進んでいく。若い頃の老裸には老人が裸になりたがる気持ちが理解出来なかった。
当時仲の良かった異性が「若い人は逆に頑なに脱がなさすぎるよ」と言った。だから君も脱いでよ、という意味の口説き文句だと気づくのが遅かったので、一つの恋は始まる前に終