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たそがれ商店街ブルース 第10話 たそがれ商店街
あちら側の商店街が一歩ずつ近づくのに合わせて、西の空はまた徐々に色彩を取り戻し始めていった。しかし、太陽はもうほとんど沈んでしまっているために、その光はとてもか細くて、まるで最後の一滴まで絞り出されたあとのオレンジのように寂しげだった。
街灯がいつの間にか点灯している。冬の黄昏時だ。私は早く塔子ちゃんに会いたくなった。
踏切は遮断機を高く空に掲げ、商店街は私を快く迎え入れてくれた。私は呼吸
たそがれ商店街ブルース 第9話 警察官
私はいったいどれくらいの間、空中に身を置いていたのだろうか。それは一瞬の出来事のようにも感じられたし、数分間の出来事のようにも感じられた。ただ一つだけ確かなことは、私は裂け目に落ちることもなく、無事にあべこべの神社から戻って来ることができたということだった。その証拠に、私は今、商店街の真っ只中にいる。私の住んでいるアパートがある、あちら側の閑散とした商店街ではなく、少年に扮した河童と並んで歩いて
もっとみるたそがれ商店街ブルース 第1話 微熱
幼い頃、熱を出すといつも奇妙な夢を見た。
細くなったり太くなったりする雪が降りしきる山道を、1人歩く少年の私。どこから来たのか、どこへ向かっているのかもわからないまま歩き続けていると、いつの間にか、360度が真っ黒闇に包まれた空間にワープしている。私は自分が立っているのか浮いているのかもわからない。すると、どこからともなく、ふんどし姿のいかつい男たちが現れて「エンヤコーラ、エンヤコーラ」と掛け