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民藝運動

民藝運動ってご存知でしょうか?
ヤカンやタンスなどの生活用品(手作業でつくられたもの)に美しさを見い出す試みで、大正時代に始まりました。

少し前、東京国立近代美術館で「柳宗悦没後60年記念展『民藝の100年』」という特別展が開催されていました。
午後休をとって都内をブラブラ散歩したついでにみてきました。

民藝がテーマなので展示されているものは昔の日用品ばかりです。
美術館だけど博物館にいるような感覚でした。
お猪口や湯釜、茶碗など・・・
それも無銘の、まさに庶民が日常生活で使っていたものです。
民藝運動の中心人物、柳宗悦はそこに美を見たわけです。

4時間ぐらいかけて館内を一通りまわりました。
おもしろい形をしているものや奇抜なデザインの品からは、無銘の作者たちの遊び心が感じられて結構おもしろかったです。

館内をうろうろ歩いているうちに、なんとなくマルセル・デュシャンの『泉』が頭の中に浮かびました。

Fontaine


柳宗悦はインダストリアルデザインではなく、あくまで無銘の作者による民衆向けのハンドメイドの日用品に美を見出したのだから、両者の根底にある思想は全く異なると思います。
しかし、既存の芸術という概念に対するアンチテーゼ的な要素を持ち合わせていたことは読み取れます。

ただ、アンチテーゼという意味においては、デュシャンは芸術の再構築を企図していたように思えますが、柳宗悦の民藝運動からは西欧や近代に対するシニシズム的な要素を色濃く感じました。

柳宗悦は、学習院を経て東京帝大に進んだエリートです。
学生紛争もそうですが、エリートがエリート然としないことが格好いいんだぜ、といった思春期のような青臭さを覚えました。

あれこれ考えた一日でした。



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