マガジンのカバー画像

徒然日記

41
運営しているクリエイター

#ブックレビュー

言葉を紡ぐ

言葉を紡ぐ

言葉を覚え始めた子どもが、言葉の響きを楽しむように
大人になっても忘れないフレーズがある
それは昔の情景が目に浮かぶ詩だったり、お気に入りの歌詞だったり
映画のセリフだったり。

『あの犬が好き』は、言葉を紡ぐことの楽しさを思い出させてくれる。
始めは、ことばを知らないからという理由で、気に入った詩をただ真似て作る男の子。
そのうち、彼自身の生きたことばの重なりになり、その情景や感情が伝わってくる

もっとみる
『希望の図書館』

『希望の図書館』

前に人種差別について調べていた娘が、最近、図書館で借りてきた本『希望の図書館』 彼女が読み終わった後に、私も読んでみた。

舞台は1940年代のアメリカ・シカゴ。黒人は図書館には入れない時代。南部から移住してきた主人公のラングストン家の近くに黒人も入れる図書館を見つける。母親を亡くし、友達にもいじめられ、そんな彼を救ったのが、図書館で見つけた自分と同じ名前のラングストン・ヒューズの詩集。彼は夢中に

もっとみる
『最悪の予感』パンデミックとの戦いを読んで

『最悪の予感』パンデミックとの戦いを読んで

なかなか収束しない新型コロナウィルスに、先の見えない不安を感じ、専門家と名乗る医師やSNSなどの不明瞭な情報に振り回され、今まで味わったことのない恐怖を感じている人は多いと思う。私も間違えなくその一人である。

コロナ対策に失敗した印象のアメリカだが、コロナ渦になる随分と前から感染症のパンデミックへの備えを熱意をもって研究している人がいたことをこの本で知った。それも無名の保健衛生官や医師、研究者た

もっとみる
静かな目

静かな目

『デジタルで読む脳×紙で読む脳』 を読んだ。
自分の読書について最近なんとなく気になっていたことが腑に落ちた。

近年、私たちは毎日スマホやデジタルデバイスから得る情報に何時間も費やしている。
一方、せわしなく動かす眼や指をとめて、「静かな」目で心で自分を見つめ、考えを深める時間をどれだけ使っているか。
読書に関しても、Audibleなどで耳読してしまったり、紙の本であっても斜め読み、目次だけ見て

もっとみる