やっぱり母なのだ


私は母が苦手だ。

母は先天的な身体的障害があり、さらに病気ばかりで、私が小学中学年の頃から入退院ばかり繰り返していた。 
そのため、家事なども姉や兄と協力しながらやってきていたし(当時父は単身赴任ばかり)、他の子がしなくていい苦労をたくさん経験してきた。

成績優秀の姉兄と違って、凡人以下だった私は、母からキツイ言葉もたくさんかけられたし、褒めてもらった経験は看護師の国家試験に合格した時以外記憶にない。

別に何をされたわけではない。 
自分が母親になって子育てをしている今、当時の母は母なりに一生懸命育ててくれたのだとわかるが、小さい頃からすり込まれた感情がすぐに変わることはない。 

今までもずっと、今でも母は苦手だ。


今日は朝から絶不調だった。

家事は滞り、家の中は散らかっている。 
でも、身体が動かず、隙があれば横になる生活をしている今日この頃。
最低限の洗濯と、食器洗いと、食事の支度。
あとは子ども達の学校や習い事や塾関係のことと、自分のパート以外はボーっと抜け殻のようになっている。

今日は特にネガティブで、どうにもこうにも自分の感情をコントロールするのが難しかった。

気分を変えるために、誰かと話したかった。
でも私には、気軽に電話できる関係の相手なんていない。

外に行こうにも、外は大雨。
そもそも身体が横になったまま、起き上がるのも気合いが必要なくらいの体調だ。

外に行くという選択はなかった。

チャット相談に連絡してみたが、いつものことながら繋がらない。

でもやっぱり誰かと話したい。

…母だ。


久しぶりに母に電話をした。

別に特別な話題はない。
他愛もない話をひたすらする。

うつ病のことは母には伝えていない。
面倒くさいからだ。

だから、「元気?」と聞かれると「元気元気」と答える。 

本当はネガティブな感情で、希死念慮でいっぱいだったけど、元気なふりをして話す。  
別に普段からそうだから、特別なことではない。

最近の出来事、夫のこと、仕事のこと、子ども達のこと…話題は尽きない。
時には自然と笑えたりもした。

1時間くらい話しただろうか。
電話をきった。

不思議と、少しスッキリしている。
もちろん全てのネガティブな感情が無くなったわけではないが、無理矢理でも笑ったのもよかったのだろう。  


私は母が苦手だ。

でも、いざという時、電話する先はいつも母だ。

なんだかんだ言って、母は私の母親なのだ。
遠いので帰省はしないが、電話だけでもいつも迎え入れてくれる。

母は、やっぱり母なのだと改めて思った。