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求めているもの

少し前に付き合っていた彼とお別れした。理由は私も彼も障害をもつ兄弟がいて、彼は兄弟たちを背負うのが難しいと感じてしまったから。私は腹をくくってやり切るつもりでいたけれど。

私も彼も「きょうだい児」というやつだ.

きょうだい児の結婚には何かとハードルが高いと言われている。例えば、相手が障害をもつ兄弟を受け入れられるのか、相手が良くても相手のご両親が障害を持つ兄弟を受け入れられるのか、親が兄弟の面倒を見られなくなったら誰が世話をするのか、障害者の家族から障害を持つ子供が産まれてくる可能性が高くなるのではないか…などがざっと挙げられる。

お別れを告げられてから、ネット記事で同じ境遇の人達の意見を見たり障害者に対する補助等を調べたりした。

その中には「障害者の兄弟がいることを理由に別れるやつなんてどうせその程度の人間なんだから、別れて正解だ。早く次の人を見つけた方が良い」という意見が散見される。
確かに客観的に見たらそうなのかもしれないし、それは紛れもない事実だと思う。
実際私も「このことを気にしない人も沢山いるからそういう人と一緒になってほしい」と言われてしまった。
でも、当の本人はそんなことを言われたくはないんだよ。
事実としてはそうかもしれないけれど、今、あなたにそう言われても、受け入れるのは難しい。

自分が愛している人のことを自分の家族が原因でこれ以上愛せなくなってしまうことが悲しくて苦しい。
別れの原因は自分の努力で簡単に解決できるようなものではなくてどうしようも出来ない虚無感。
これから家族を一人で背負わないといけなくなるプレッシャー。
自分だって兄弟を背負って生きるのは怖い。
誰も悪くないのにどうして自分がこんな思いをしなければいけないのだろうか。
誰も悪くないからこそ、今自分が抱えている気持ちをどう処理したらよいのかわからず、呆然と立ち尽くしてしまう。
欲を言えば、自分が愛している人には私のことも私の家族のことも同じように愛してほしかった。
相手や相手家族に自分の家族のことで不安を感じさせてしまった申し訳なさと責任感。
この先付き合う人にも同様に別れを告げられてしまうのではないかという不安。

すべてが一度に押し寄せてきた。

今の私には正論を受け入れられる余裕はない。
私が求めているものは温もりだ。もっと言えば、あの人の温もりだ。


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