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【やくだつ原子】 Vol.2 「金(Au)」


本日の原子「金」

キーンコーン♪カーンコーン♪

ひこまる先生
「はい、授業を始める前に、補習を受けた喜多くん。前回の「酸素」について簡単に説明してください」


喜多
「えっと、酸素は生物に必要なもので、オゾンになって人類を守ってくれるけど、高濃度になったら中毒にもなる危険な原子でもある。だから俺は、酸素を増やせる植物になりたいです!」


ひこまる先生
「なれません。

それでは、授業を始めます。今回取り上げる原子は、みんな大好き「金」です」

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喜多
「金がキタキタ!!この世は金だぜ!」

ひこまる先生
「はいはい、そうですね。皆さん「金」と言えばどんなイメージがありますか?」

喜多
「ふっ、金を求めて人を争いに巻き込む、天使の面を被った悪魔のような金属さ・・・」

MAX
「金メダル!」


カミィ
「貨幣の元になるような価値がある!」


YMT
「金粉とか金歯とか、食べたりして人体に影響はないのかなぁと・・・」

喜多
「金歯といえば、お金持ちとか悪者の象徴ですよね!!」


ひこまる先生
「人それぞれ色んなイメージがありますよね。個人的には、喜多くんが言うように、悪党のイメージがあります(笑)
 さて、それでは皆さんのイメージも含めて、「金」について学んでいきたいと思います。

「金」は、自然にできる金属の中で、唯一黄金に輝く金属です。元素記号は「Au」で、ラテン語で「太陽の輝き(Aurum)」という意味なんです。昔から知られていた元素の一つで、古代エジプトの王ツタンカーメンのマスクなどにも使用されているなど、太古から知られていました」

喜多
「うおぉ!その輝きが人の心を惑わすわけですね…!」

MAX
「ツタンカーメンも有名ですが、日本でも金閣寺が有名ですよね。1950年に放火されてしまいましたが、復元時には、一人の職人の手で内装の金箔を貼って再建されたそうです」

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喜多
「一人の手で!?それは金箔だけに、緊迫してたでしょうね・・・」

MAX
「山田く〜ん!座布団一枚持ってって!」

ひこまる先生
「金の特徴は、その加工のしやすさです。薄く伸ばすと、厚さ0.0001mm以下の金箔にもなります。髪の毛がの太さが0.05mmくらいなので、相当薄いのがわかりますね。その特性を生かして、ツタンカーメンや金閣寺の復元もされました。
他にも、細く伸ばせば、たった1gの金で3000メートルの金線を作ることもできるし、医療でも金ナノ粒子などにして顕微鏡マーカーにも使われています」

MAX
「なるほど。そうやって加工して金歯にしたり、金箔にしたりしているんですね」

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金は食べても大丈夫!?

カミィ
「先生、僕は金属アレルギーなのですが、金箔を食べても大丈夫ですか?」

ひこまる先生
「カミィくん、いい質問ですね!実は、金属アレルギーはすべての金属に反応するわけではないんですよ。純金やプラチナ、チタンなどは、アレルギー反応を起こしにくい数少ない金属です。なので、金箔を食べてもアレルギー反応を起こすことはあまりないと思いますが、純金のプレスレットなどで肌に異常が出た経験があったら、食べない方が安全そうですね」

カミィ
「よかったぁ!実は最近、金粉入りの抹茶や天然塩を使っているので、リッチな気分で安心して食べられます(笑)」

喜多
「え!カミィさん、そんなの食べてるんですか!食べ過ぎ注意です!」

ひこまる先生
「金属はアレルギーになる人もいるし、多量に摂取すると病気になることもありますが、金による健康被害はほとんどありません。なぜなら、金は溶けることがないんです。王水の例外を除いて。胃酸でも溶けないので、害もないんですが、メリットも特にありません(笑)金歯に使われるのも、溶けることがなく、形を維持する役割を果たすのに有効だからです。金は比重が重いので、装着すると顎は疲れますが(笑)
 ちなみに、私が敬愛する柳田理科雄先生の『空想LABO』というYoutubeチャンネルの、この動画を観れば、金の重さがわかります」


喜多

「王水・・・王の水かぁ。かっけぇ!先生!王水もっと知りたい!!」

ひこまる先生
「王水については、長くなってしまうので、別の機会に取り上げることにしましょう」


金の特徴と価値

MAX
「先生!金メダルって、純金でできているんですか?」

ひこまる先生
「実は、金メダルは金だけでできてるわけじゃないんですよ。実は、ほとんどが銀でできていて、純金の割合は、わずか1.2%だったり…」

喜多
「え!?それじゃあ銀メダルやん。金メ詐欺じゃないですか…」

ひこまる先生
「まぁまぁ。金に価値があるのは、稀少性が高いからです。100年前のオリンピックでは純金の金メダルが使用されたそうです」

喜多
「ええやん。その時代にオリンピックに出場したかったぜ…そしてメダルを換金して…」

ひこまる先生
「どの時代だとしても、喜多くんはメダルを取れる実力が…
純金メダルでなくなったことには、理由があるんです。オリンピック競技が増えてきて、全て純金メダルにすれば、稀少な金が足りなくなる、と」

喜多
「まるで、金メダルのバーゲンセールだな・・・」

バーゲンセール

MAX
「ベジータかっ!!」

ひこまる先生
「喜多さんの言う通り、もし金が大量に発見されて金のバーゲンセールになったら、稀少性がなくなって価値が暴落してしまいます。でも、金は昔から中々手に入らず、かつ人目をひく輝きを持ち続けるのは、ほぼ酸化せずに劣化しないからなんです。だから『永遠の象徴』と考えられていて、歴史上にも価値があるのですよ」

喜多
「酸化しない!?酸素が通用しないのにも関わらず金を溶かすなんて、やはり王水は凄いですね!」

カミィ
「なるほど!だから昔は金貨や銀貨を使っていたり、金を担保にして貨幣が造幣される金本位制だったんですね。でもまぁ通貨発行権をロ・・・」

ひこまる先生
「おっと!カミィくんストップ!!それは都市伝説とかそっちの方でお願いします(^^;
 処されますよ?私は、目をつけられたくないので聞かなかったことに(笑)

というわけで、今回の授業は「金」を取り上げましたが、いかがでしたか?」

カミィ
「とにかく、安心して金箔を食べてもいいということに安心しました(笑)」

MAX
「金って、金属の中でも汎用性がめちゃめちゃ高いのですね。まさに、金属界の喜多くんやぁ!」

喜多
「誰が都合のいい便利人やねん!!たしかに女子からは『いい人』としか言われへんけどっ!!
 投資好きな俺は、金塊を手に入れて、大金持ちになってやる!!令和のトレンドは、蟹工船より金脈探し!」

YMT
「くすくすっ(笑)」

ひこまる先生
「はい。それでは今回の授業を終わります。最後に調子に乗ったMAXくん、居残りで補習です」


「金」についてのまとめ

・金は金属アレルギーにはなりにくい
・人体に影響がほとんどないので、金歯にしたり金箔として食べても大丈夫
・金は加工しやすい為、高価だが重宝されている
・金を溶かせるのは王水のみ
・金メダルはほぼ銀メダル
・ほとんど酸化しないため、劣化しにくく「永遠の象徴」と言われている


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「やくだつ原子」シリーズを元に、物語にして小説化漫画化、そしてアニメ化を目指しています


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