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マネージャー歴10年をふりかえって気づいた、成長のターニングポイントと習慣

これは何?

2013年に初めて「マネージャー」と冠されたロールを担うようになり、気がつけば10年以上「◯◯マネージャー」として過ごしてきた筆者が、そのキャリアをふりかえった文章です。何が自身の成長につながったのか、に焦点をあてています。

なぜnoteに書くの?

個人的なふりかえりなのでチラシの裏にでも書いておけばいいのですが、◯◯マネージャーの道を歩む・これから歩む人にとって役立つ可能性があると考え、公開することにしました。

なぜこのタイミングで?

初めてマネージャーになったのは2013年4月なので、10周年という区切りからすると中途半端な時期です。ではなぜこのタイミングで書こうと思ったかというと、10/23に誕生日を迎えるので自分的区切りとしてまとめたくなったというのがあります。

あと、そーだいさんが「30代でやってよかったこと」をまとめていて、それがめちゃめちゃよかったので、自分も他の人に役立つ発信をこのタイミングでしよう、と思ったのです。

それでは本題に入ります。マネージャー歴10年をふりかえって気づいた、成長のターニングポイントと習慣について。

私が経験してきた「マネージャー」職

この10年で私が経験してきたマネージャー職は、主に以下の3つになります。これらのロールにはオーバーラップする部分が多分にあるため、本文中では特に区別せず「マネージャー」として扱います。ご了承ください。

  • プロジェクトマネージャー

  • プロダクトマネージャー

  • エンジニアリングマネージャー/VP of Engineering

私のターニングポイント

勝手に改善活動を始めたらマネージャーに推薦された

最初のターニングポイントとしては、「マネージャーに推薦された」ことがあります。既存システムの保守運用をメインとするチームに所属しており、そこには課題として挙げられるけれど誰も手を付けない改善アイテムが山積していました。これをチームメンバーと協力して、「せっかく改善アイデアがたくさんあるから、やっちゃおうぜ!」とやっていったところ、驚くくらいいい感じにチームが改善していきました。何もやっていない状態だと、ちょっとした改善でもグッとチームが良くなったりするんですよね。

そして、これを何ヶ月か続けていたら、当時そのチームのマネージャーをやっていた方が昇進するタイミングで、私を後任に推薦してくれました。
当時は普通に開発していたし、自分より昔からチームに所属している先輩がいるのに自分でいいのか?みたいな葛藤があったりで、即決はできませんでした。
当時働いていた表参道から、当時住んでいた登戸まで歩きながら帰り、じっくりキャリアについて考え、結局ひきうけることにしました。

ふりかえってみると、「やったほうがいいけれどもみんなが手をつけていないこと」「重要だけれども緊急ではないこと(それゆえ見過ごされやすいもの)」に手を付けるという行動がマネージャーとして好ましいと判断されたのでしょう。実際、マネージャーにとってそういう「ボールを拾う」姿勢はとても大切なものです。

内向きなマネジメントによる失敗体験

次のターニングポイントは、思い出すのもちょっと辛い、いわゆる「失敗体験」でした。

初めてのマネージャー業に張り切る私は、「メンバーの声をきいて、メンバーが楽しく働けるマネージャーになろう」と考えていました。サーバントリーダーシップの考え方に共感し、そう働きたいと思ったのです。

メンバーからは好評でした。やりたいことをやらせてくれる。エンジニアの気持ちがわかってくれる。そういったフィードバックをもらい、「これはうまくいっている!」という手応えを感じていました。

けれども、実際にはマネージャーとしてやるべきことができていませんでした。それは、「外からチームに期待されていることに応える」ということです。ステークホルダーから来る要望よりも、内側から上がってくる要望を優先していった結果、外から見ると「なかなか成果が出ない」「リスケを繰り返している」という状態になっていました。

ある日、上長と話しているときに、「マネジメントが内向きすぎる」というフィードバックを受けました。そして、結果としてチームの状態が悪化している、とも。これにはショックを受けたし、反発も覚えました。いやいや、外から見るとそうかもしれないが、チームは一致団結してるよ、と。

けれども、冷静にチームを観察してみると、度重なるリスケにより疲弊していたり、成果が出ないことに焦燥感を感じていたり…。メンバー同士の人間関係が悪化しているケースもありました。

チームには使命があります。チームに集まる人達は、使命を全うするために存在しています。内側だけをみていると、最初はうまくいっているように感じられるものの、外からの期待に応えられないことから評価されなかったり、辛辣なフィードバックが来たりなどで徐々に心地よさが失われていきます。心地よさだけが拠り所のチームから心地よさがなくなれば、それは崩壊するに決まっています。

だから、内側だけをみて一時的な心地よさを演出することは、長い目でみるとチームを壊してしまうことなのだ…それが、このときに味わった、苦く、そして忘れがたい大きな学びです。

期待に応えるチームづくり

そこからギアチェンジして、まずは「期待に応える」ことにフォーカスするチームづくりをしました。そのときに心がけたのは、以下です。

  • ステークホルダーとの会話を増やし「なぜそれをやるか」を腹落ちする

ステークホルダーからの要望は、そのままだと「なぜやるか」がわからないケースがありました。それまでは「なぜやるか」がわからない、だから「やらない」としていたのですが、これを「やる」に変える、というのがやりたいことでした。
理由を考えずにとにかく仕事なんだからやる、という選択肢もありますが、ジョジョ信者である私は「納得は全てに優先するぜ!」と考えてしまうので、なぜやるかわからない場合は腹落ちするまで考えたり直接聞いたりするようになりました。そのためには、必然的にステークホルダーと会話していくことになります。

この「ステークホルダーと会話し、なぜやるかを腹落ちさせる」という行動は非常に有効で、外部的な期待に応える力が一気に向上しました。

自分たちでハンドルを握るチームづくり

いくつかのチームを渡り歩く中で、パフォーマンスを発揮するチームとそうでないチームの違いがだんだんと見えてきました。

  • お互いに自己開示ができている

  • 日々、何をやっているかが共有されている

  • 向かう先が明らかになっている

もちろん、ベースとしては開発したいものをモノにする技術力が必要不可欠なわけですが、上記に該当する要素を持ち合わせているチームは技術力以上のパフォーマンスを発揮していることが多々ありました。逆に、技術力はあるけれども上記がないチームは、期待に対して応えられていないケースも散見されました。

では、どのチームでも上記の状態を作ってしまえばよいのではないかーー。そういった仕組みはないものだろうかーー。
と探す中で出会ったのが、数年前に「アジャイルサムライ」で存在だけは知っていた「インセプションデッキ」であり、同じく存在だけは知っていた「Value Stream Mapping(以下、VSM)」、そしてスクラムでした。

インセプションデッキで相互理解を形成しながら自己開示し、向かう先を明らかにする。VSMで改善すべきポイントを明らかにしながら、業務フローについて個人の暗黙知をチームの暗黙知にしていく。そしてスクラムの導入により、透明性・検査・適応をチームの根本に据えていく。
このやり方は自分的には大ヒットで、いくつかチームを渡り歩く中でも再現性をもってチームを成長に導いていくフレームになりました。

管理職向け研修の受講

前職では管理職向けの研修を受講する機会がありました。
そこでいわゆる「マネジメント」の基本、PL/BSのような財務の基本知識、マーケティング、コーチングやプレゼンテーション、ファシリテーションなど様々なことを学びました。
宿題が出るようなガッツリ目の研修でなかなかハードだったのですが、ここで基礎力をつけることができたことが、今の自分のキャリアにつながっています。

こういった研修の受講は会社の方針に左右される部分が大きく、こういった教育に投資してくれた前職には本当に感謝しています。

私がお世話になった講師の方が運営している会社を紹介しておきます。自分の会社でもやってみたいなーって方は、相談してみるといいかもしれません。


サクセッション

マネージャー業を営む中で大切なのがサクセッションです。さきほど「いくつかのチームを渡り歩いた」と書きましたが、ということはいくつかのチームからは離脱しているわけです。離脱してもうまくワークするようにマネージャーの仕事を見える化する、簡略化する、といったことをやっていきました。

この、自分の仕事を型化してサクセッションできるようにするという取り組みは、EM→VPoEのように管掌範囲が劇的に広がるタイミングで、大いに役立ちました。

マネージャーやCxOの方々と話していると、サクセッションがうまくいかず困っているという話を聞くことがあります。自分が一番できてしまうがゆえに、ずっと打席に立ち続けてしまう。気持ちはよくわかりますが、もっと大きなヤマを、成果がゴロゴロでるようなやつを目指すなら、勇気をもってサクセッションに取り組んでいくことは大切です。

コミュニティに学ぶ

マネージャーとして最大のターニングポイントは、コミュニティに飛び込むことでした。DevLOVE、あじゃてく、スクフェス界隈など、様々なコミュニティに飛び込むことで学びが深まっていきました。

もともと主戦場がC/C++、研究開発部門という出自なので、コミュニティというのはあまり縁がある存在ではありませんでした。それがふとしたきっかけでコミュニティに出入りするようになり、今ではYAPCなどメイン言語と関係のないカンファレンスにも参加しています。(そもそも現職ではC/C++使ってない!)

新しい知見、驚くような洞察、チャレンジしたいと思うような情熱をもたらしてくれたのは、いつもコミュニティでした。

さて、ここからは習慣について話していきます。

身につけてよかった習慣

読書

マネージャーになってから、月に1冊は本を読むようになりました。そこからペースが増えていき、ピーク時には年間200冊読むようになっていました。
現在では週に1冊程度に落ち着いてきているのですが、とにかくインプットして新しい情報を取得しつづけるという習慣は、マネージャーとしてアップデートし続けるための重要なものです。

散歩

だいたい1日あたり1-2時間くらい散歩します。これはマネージャー業と直接関係はしないのですが、歩きながら思考することで、答えのない問いに対して緒を発見しやすくなりました。

勉強会への参加

読書とはまた違った、活きたインプットをするために有効なのが勉強会です。マネジメントに限らず、様々な分野の勉強会に顔を出しています。

ブログ

ブログ執筆を通して言語化能力を鍛えています。言語化苦手だよ、っていう方には非常におすすめの取り組みです。

興味がないことに飛び込む

マーケティング、哲学、アジャイルなど、出会ったときには興味が湧かなかったものにはあえて飛び込む、ということを心がけています。習慣というほどやりきれてはいませんが…。

アジャイルなんて、最初は全然興味なかったのに、今はなかばライフワーク化しています。そういう「興味ないと感じたものには学びが眠っていた」という経験から、興味ねーな・・・と思ったものにはなるべく飛び込むようにしています。全部が全部じゃないけどね。

睡眠

ちゃんと寝る。これはめちゃ大事です。マネージャーは常に強いプレッシャーと、頻繁な割り込み業務にさらされています。であるがゆえに睡眠をしっかりとり、心に余裕をもち高いパフォーマンスを発揮して仕事にあたることは大切です。

筋トレ

週に1回程度、軽い筋トレをやっています。ほどよい運動は頭をシャッキリさせてくれます。

捨てた習慣

スマホゲーム

以前はドラクエウォークとかいろいろやってたのですが、やらなくなりました。時間を無限にかっさらっていくのと、その割に自分にとってはメリットがないなー、と感じたのが辞めた理由です。

意外とこれくらいか?あとは思い出したら書きます。

これで全てではない

つらつらと、10年をふりかえりながらターニングポイントや習慣について書いていきました。これで全てではないので、また何か発見したら追記したいです。
みなさんも、「こういう習慣もよかったよ!」っていうのがあったら教えてくださいね!


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