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世界観をつくる 「感性×知性」の仕事術

コロナx GWで時間ができたのでめずらしく読書の毎日。今回の長期休みでは、「自分と向き合うこと」を軸に本を探しています。デジタルミニマリストやNiksenなどの本を読んで、自分と向き合う「時間」ができました。そして正解がないこの世の中で、自分はどうやって生きていけばいいのか。YouTubeを見ていると自分の世界観を持っているなぁと、すこし羨ましく感じます。自分がどう生きたいかを考えるヒントがあればと、「世界観」というキーワードに誘われ、水野氏と山口氏の対談形式ですすむ本書を手に取りました。さぁいきましょう。


ひとことで言うと、

これからは世界観など「意味がある」ものに価値がある時代

とにかく性能だけを上げようとした製品は身近にありませんか?ボタンが多すぎるリモコンをはじめとして、カメラ、自動車、時計など、便利な機能が詰め込まれすぎた結果、機能太りしたモノたち。iPhoneのようなブランドに人々が熱狂するように、日本企業の製品に顧客が価値を感じなくなっています。ではどうするか。まず価値の提供には大きく2つに分けられます。

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文明:「役に立つ」という価値。いかに性能を上げるかなど数値的に測れる。今までの日本企業が提供してきたもの。

文化:「意味がある」という価値。ブランドなど数値化が難しい。企業がこれから目指すべきところ。バルミューダなどがいい例。
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高度経済成長期は欧米諸国に追いつこうと、数量的に進歩を測れる「役に立つ」価値で日本は成功しました。だけど物質的に豊かになると追い越す目標がなくなり、成長が止まった。これが平成という時代です。もはや家電などをはじめとした価格や利便性などの「役に立つ」価値は、韓国や中国に負けています。日本企業が不調なのは、世の中に対して価値を提供できなくなっているからです。

だからこれからは「意味がある」に価値がある。
例えば日本にはトヨタやホンダなど世界に誇るメーカーがあります。日本の車は乗りやすく、価格も手ごろ。とても「役に立つ」価値がある。対して海外にはポルシェ、アルファロメオなど多くのブランドがあります。価格も高いし、メンテナンスもめんどい。それでも「この車に乗りたい」と多くの人の心を掴みます。これが「意味がある」価値。つまり移動手段として「役に立つ」のはトヨタだけど、ブランドとして「意味がある」のはポルシェ。これからは「意味がある」という価値を提供できないと、モノあまりの時代には価値を提供できないということ。企業はいま文明と文化の分かれ道にきているのです。


「意味がある」をつくるには?

本書はpart1〜3で構成されています。 part1では「意味がある」価値について考えさせられました。では「意味がある」をつくるにはどうするのか。

答えは、世界観をつくること。

後半part2〜3で説明される内容です。ターゲットをつくり、物語をつくり、未来をつくること。でもそれには正解がありません。正解のない中で、知識を積み重ねてつくり上げたセンス、アート、直感などを使って、世界観を他者に伝えていくのです。日本人にはなかなかのハードトレーニング。。。

そもそも日本人は、自分で判断して選ぶことに慣れていません。特にアートのような「正解のないもの」を判断するリテラシーがない。日本企業が数値化、言語化されていないと「その案でいい」と言えないのは仕方がないことかもしれません。そして判断できないくて「なんとなく好き嫌い」というふんわりしたもので判断してしまう悪循環。決定権のある人の好き嫌いが反映された結果、最初に会議で決めたペルソナのターゲットはいつの間にかその決定権のある人にすり替わってしまう。

世界観とはどんなものかは、スタバが一番わかりやすい。スタバの世界観にターゲット自らやってきて、「スタバで一人、ラテを飲む私」という物語を発信する。自分自身をその世界観の主人公にすることができるもの。ブランディングといわれる世界観をつくることが、企業にとっての価値を生み出していくのです。


終わりに

対談形式なので、随所にためになる情報があったりで面白かったです。ざっくりまとめると、これからは「意味がある」価値を生み出すために、世界観をつくろうというのが本の軸だと思います。

だからと言って私のような凡人が「じゃ、世界観をつくろう」ってなかなかハードルが高いですよね。頭では理解できても、実行まで落とし込むのは難しい。「意味がある」をつくるために、今の自分ができることは2つ。

1 モノを「ちゃんと」見て、観察力を鍛えること
水野氏のように、ちゃんと見ることで「そのものが持つ魅力」を伝えられるようになりたい。思い込みというリミッターを外して、よく観察することでセンスを磨いていくことを大切にしたい。

2 知識の引き出しを増やしていくこと
仕事に関係のないことでいい。映画をどれぐらい観ているか、どれだけ街を歩いているか、本をどれだけ読んで、どれだけアートに触れているかが、世界観をつくる材料になる。

まずはここからやってみようと思います。

▼世界観をつくる 「感性×知性」の仕事術
https://www.amazon.co.jp/dp/B085ZTZG9B/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_U_LIJSEbDJJF2KE




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