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vol.160/ 本でこんなに泣いたの初めて

2年前だったか、母の誕生日によしもとばななさんのキッチンを贈ったのは。本好きな母だから読んだことがあると思っていたキッチンだったが、気にはなっていたけれど読んではいなかったと聞いて贈ったのだ。そして私も気になりながらも手には取っていなかったから読み終わったら貸して!と贈った本に注文を付けた。



前にも母の誕生日に本を贈るということをやって、そしてこれが結構喜ばれた。誕生日に限らず、なんかこれ読んで欲しいかも!と直感で贈ったりしたこともある。これまた結構喜ばれて私も嬉しかった。私も(何気に、見かけによらず)本好きで、それは小さい頃からだった。きっとこれは母の影響。小さい頃は伝記を読みあさって空想に耽ったり勇気をもらっていた少女だった。漫画はあまり得意ではなく、小さな文字だけの小説の方が好きだったし、それは今も変わらずだ。大人になってからは小説に時間が割けなくなってきて、(それはいかんいかん、と思っている)自己啓発本にのめり込んで己を高めてやろうと必死だった20代を過ごした。
…こう考えると本棚は自分自身を映し出しているかのようで鏡よりなんとも恐ろしい。



少し前にキッチンを読み終えたと、母に贈った本が私の手元にきた。そして一気読みしたのは言うまでもない。内容など何にも知識が無く、なんの気無しに(でも今贈りたい、読んで欲しいという直感だけはあった)贈った本だったが、読み終えてびっくりしてしまった。然程、というか薄めの小説なのに内容が濃ゆい。深い。そしてとんでもなく大きなテーマだったから。

今書いたように何にも予備知識が無かった私は2年前に母に贈り、その数ヶ月後に私のおばあちゃん、母の母が亡くなった。本を読み終えてなんてタイミングで渡していたんだと後悔とごめんねが溢れて、本を置いたのと同時に母へLINEを入れている私がいた。

キッチン、内容的に辛くなかった?
ママは全然大丈夫だった!

母のライトさに救われた。
でも私の方が全然大丈夫ではなく、恐ろしいくらいに泣いていた。本を読んで嗚咽したのは人生で初めてだもの。(ホルモンバランスが良く無かったんじゃないだろうか)
内容については知っている人が多いと思うし、まだ読んだことのない方もいるので触れないが、本当に本当に素敵なものに触れられた本だった。(どう表現できるか考えたけど、“素敵なものに触れられた”、が自分の中で1番しっくり来た言葉だ。)



死という大きな本のテーマ、でも私もこの2年前死に向き合わなければいけないことが立て続きに2回あったからこそ行き着いた自分なりの答えがある。

死は自然なこと、
とってもナチュラルなことで
当たり前の日常

だった。そして今もここに行き着けて良かったと思っている。行く着くまではとてもじゃない程泣いたし、無気力にもなったし恨んだりしたけど。深い話をするつもりはなく、様々な死がある中で私の言葉は軽率かも知れないから、これ以上は書かないし書けないけど、私はそう受け止めることにした。そんな時のことを思い出したり、そして今も私の中で生き続けている彼ら彼女らのことを想う時間をこの本からもらった。

本はやっぱり良いですね。

私のあらゆるものが刺激され、感化され、何かの一部になった気がします。外へ向けるエネルギーも大切だけど、内へ向けるエネルギーも同じくらい大切。

さあ素敵な出会いのある2週間を♡





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