カレーの街、横須賀
2021年の秋。
偶然が重なって、岡山から横須賀の谷戸に辿り着きました。当初はカフェをやるつもりだったものの、気がついたらスパイスカレー屋に。
縦糸と横糸が絡まるように、オープンまでにも、さまざまな出会いと縁が紡がれました。
偶然の糸の束なりの中に、横須賀がカレーの街であったことがあります。
住んでからしばらくして気がつきました。
海軍カレー
横須賀市では海軍カレーを横須賀市は推しています。
海軍カレーとは旧日本海軍で振る舞われていた兵食のレシピを忠実に再現したもの、だそうです。
市街の方は、海軍カレーを目指して週末に横須賀に来られることも多い。もちろん、海軍カレー以外のお店も、数少なくですがあります。
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カレーは、さまざまな個性があります。
種類を挙げていきましょう。ヨーロッパの料理体系を折り込んだ欧風カレー。大阪発のスパイスカレー。本場のインドカレー。インドでも、大きく北と南で流儀が違いますし、東部や西部にも細かく地域性がある。民族の振れ幅を含めると、無数の選択肢がある。
国であればまだあります。ネパール、タイ、バングラデシュ、スリランカ。こちらも、それぞれの国にそれぞれのカレーがある。そして、地域性がある。
日本で言うと、秋田と宮崎で、郷土料理の違いがあるようなものです。加えて、秋田の中の地域や、もっというと家庭ごとに個性がある。秋田という県でまとめると、歴史背景に培われた文化をみんな継承している。
スパイスカレーと個
カレーは作り手の顔のように、それぞれ明確な個性があります。
私は10年ほど、神戸に住んでいました。大阪ではスパイスカレーブームが起きていて、お店が多くできて、鎬を削っていた。
大阪に住んでいる友達について巡っているうちにひとつのことに気づきました。それぞれの店で、個のカラーが確立していること。
キーマカレーに豆腐と花椒を添える店。中華のエッセンスを混ぜる店。刺身をのせる店。元、和食の料理人がやっている店。
大阪はインドのように、キタとミナミで大きく別れていて、地域ごとに人気のスパイスカレー屋さんがある。人気店はいつも列がならんでいます。住民たちは、それぞれの切磋琢磨と発想をたのしんでいました。
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横須賀も、そういう風にならないか、とやすきはかんがえています。
横須賀市内の地域に、カレー屋がたくさんあり、それぞれの個をたのしむことができる。
やすきは、横須賀が個を尊ぶ街だと感じています。港町ゆえに、知らない文化を受け入れる力に富んでいる。私の地元の岡山県津山市は、盆地で、他の街との交流が薄く、知らないものを受け入れることが苦手でした。もちろん、津山には津山市のよさもあります。
津山に限らず、個を尊ばない地域性もあるということです。
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話をカレーにもどします。
横須賀でも海軍カレーだけではなく、さまざまなカレーを楽しめることはできないでしょうか。
横須賀に住むカレー好きの方は、週末にカレーを食べに行こうとしたら、横須賀ではなく横浜や東京、鎌倉などに出かけてしまうそうです。
東京のカレー業者の方も、横須賀はカレーの街といいながら、海軍カレーしかないではないかと、批判もあるようです。
海軍カレーが悪い、ということではないです。海軍カレーが好きな方もいるでしょう。経済効果も生んでいます。
ですが、インドの伝統も伝えるために、志を以て地場で踏ん張りつづけているカレー屋さんがいる。同業者の話を聞いていくと、東京でも他の地域でも、カレーに対して愛をもっている。
繰り返し言いますが、横須賀は、個を尊ぶ街です。ですので、独自の文化を発展させることができる。東京にも、横浜にも、湘南にもない、魅力的にもの。
必要なのは、多様性。
多様な個をもつカレー屋さんが街中に溢れれば、横須賀はおもしろい街になります。
よそものであるやすきは、横須賀が独自に持っている文化が宝石のように輝いて見えます。生まれ育った住民の方たちはそれが見えないようです。
カレーの街として、横須賀はものすごく発展する可能性があります。前例がないことをやってのければいいのです。オリジナルな文化を作ればいい。横須賀には、その力があります。
音楽や珈琲など、他の文化との親和性も高い。独自に混ざり合えば、ここにしかないものが生まれる。
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2023年の秋。
横須賀の老舗のライブハウスをお借りして、スパイスと音楽のイベントを開くところまで来れました。2019年の夏に津山の店を始めてから、4年の月日が経ちました。
Hot Chillin’、横須賀の新しい文化をつくる第一歩です。スパイス料理の出店は少なめなのですが、さまざまな要素が、カオスに混ざり合って、深い味わいを醸しだします。ちょうど、スパイスカレーのように。
ぜひみなさん、11/9(木)にYonger Than Yesterdayにいらして、新しい文化の立ち上げに参加してください。
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