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ドント
2021年1月25日 23:26
その青年が私の医院にやって来たのは、12月25日の昼のことだった。 彼は不自然な姿勢で、よちよちと歩いて診察室に入ってきた。 私がどうぞ、と椅子を勧めると、いえ、椅子は、と言いよどんだ。丸眼鏡の奥の目が泳ぐ。 「ちょっとあの、諸事情ありまして、座るのが」 自宅からここへの電車も、ずっと立ったままでやって来たという。 よく見れば下半身、それも前でなく後ろの方を、しきりに気にしている。