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【追記あり5/24】ココが変だよ、ニデック の決算

 ニデックが4月23日、2024年3月期期末決算を発表しました。以下、気になった所を書いていきます。

①3Q決算より減益している!!!

 こちらの2つの決算を見比べてみてましょう。まずは、今日発表の4Q決算。

4Q決算 売上2.348兆円 純利益 +1253億円 

次に、12月末時点の3Q決算です。

3Q決算 売上1.754兆円 純利益 +1459億円

・・・あれ?
売上は約6000憶円入っているのに、利益は▲200億円ぐらい減ってる?

前年比で見るとプラスなのでパッと見気づかないかもしれませんが、実は直近四半期では減益、つまり赤字だったのです。

②車載は4Qに大赤字になる?

 ではこの原因は何なのか?先ほどの決算の「製品グループ別売上高・営業損益情報」を見てみましょう。
期末決算は32ページ、3Q決算は24ページにある累積の方の表です。

これを見ると、3Q決算時点での各グループ営業利益は全て黒字だったことがわかります。ところが、4Q決算では「車載」だけが▲311億円と大きな赤字となっていることがわかります。

「車載」とはモータ駆動自動車、すなわち「 EV 」関連商品のことです。

https://www.nidec.com/jp/product/search/category/B105/M100/

 そこで今度は、4Q決算の次ページ(33)にある、直近四半期だけのデータを見てみましょう。

 なんと1四半期だけで▲536億円もの営業損失が発生していると書かれていました。

 そして上の段の前年同期の数字を見ると、やはり車載が▲397億円と、4Q単独だけで大きな赤字が発生していたことがわかります。
(前年の3Q時点では累積▲25億円だったので、赤字が15倍に拡大

 この現象はもう1年前の2022年3月期にも起きていて、3Qまではずっと黒字だったのに、4Qだけは赤字(▲1.5億円)が発生していました。
 つまり、3Qまでは順調なように数字をよく見せていて、4Qでそれまでの悪い数字を一気に載せてぼやかしているような、そんな数字のマジックを感じているのです。

 一応は決算の7ページによると「構造改革費用約598億円を計上」と書かれていましたが、具体的には何に投じたのかはよくわかりませんでした。

③利益剰余金が減っている

 期末決算18ページには貸借対照表が載っていますが、その中の「資本の部」に「利益剰余金」という項目があります。

 ざっくりと言えば、これが増えていればその会社は利益を積み上げている、と考えて頂ければと思います。
 左側が前年、右側が今回の数字で、一見順調に増えているように見えます。今期の利益剰余金は、+1.221兆円でした。

 今度は先ほどの3Q決算14ページの同じ項目を見てみましょう。
3Q時点では、+1.238兆円でした。

…あれ?
やっぱり減っていますね…。

 ただ4Q決算の時期というのは、配当支払いや自社株買い・消却などの株主還元でも利益剰余金が消費されやすい時期でもあります。というわけで、自社株買いの状況を見てみましょう。

④自社株購入 0株!!!

 ニデックの自己株式取得状況は、このページから見ることができます。直近では1月24日に、自己株200万株・110億円を上限に取得すると取締役会で決議されていますが、実際の取得状況はどうでしょうか?

なんと、ゼロ!!!

 もっとも、前年のうちに決めていた2023年1/25~2024年1/24の範囲で購入分があるので、もしかしたら1/1~1/24の範囲内で購入はあったのかもしれません。

 決算の数字を見ると、12月末時点で21,684,945株、3月末で21,685,820株と書かれています。ということは、前年に決めた枠の中では 875株だけのようです。

 しかし、1月24日に追加の自己株取得を決定して以降は、一度もニデックは自己株取得を実施しなかったようです。

 この決議は取得期間を「5月24日まで」と定めているので、もしかしたらこの後一気に取得してくる可能性はあるかもしれません。

・追記5/7 自社株取得状況

 ニデックが自己株式の取得状況に関するお知らせを掲載しました。
4/1~4/30日間の状況についてです。

まwwwたwww0www株www0www円www
だったら出すなよもうwww

履歴を見る限り、2023年5月以降は1年間一度も自社株買いをしていない模様です。

追記5/24

自社株取得期間が終了しました。0株0円でした!なんなんだよもうwww

追記5/25

ほらまたなんか出てきた

最後に

 ニデックは最近、テレビCMをかなり積極的に展開しています。日本電産時代はテレビCMは見たことが無かった印象なので、改称をアピールするためにかなり力を入れたようです。

 ただ、個人的にはあのCMはあまり好きではありません

 ネット上の反応を見るに、しつこい、ウザい、腹が立つといった反応が見うけられました。

 もしこれがニデック側の書いた脚本通りの内容なのだとしたら、「なぜこんなCMを作ったのだろうか?」と首を傾げたくなります。もっと自社の製品を前面に押し出せばいいのに、
結局ニデックは何の会社なのか」という疑問がかえって強くなったのではないでしょうか。

 ニデックの名前よりも「川口春奈が何か変なCMやってるなー」という印象しか残っていません(苦笑)

 なお、このCMはYouTubeにも投稿されていますが、コメント欄は全て閉鎖されています。

 このCMの迷走もまた、ニデックの現在の状況を示しているのかもしれない、と個人的には感じています。


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