堂所番弐のnote(2) 「大事なのは全国に行くことじゃない」
物語を書くにあたって、僕が腹落ちしたことをメモ的に記載します。
この記事のまとめ
「この音とまれ!」(漫画)を読んで学んだことを記載。
1.全体をしっかり見て、流れを理解する
2.流れの中で自分の「音」がどう周りと絡むのか、自分の音の意味と役割を考える
3.悩んで考えてひたすら向き合う
「この音とまれ!」のレジュメ
僕が物語を書くに当たって、大きな示唆を貰った作品の一つ。
「この音とまれ!」の主に11巻から13巻のレジュメに沿って、物語を書くことについて、記述していきます。
僕はここで言う「音」が、「物語」や作者の「声」だと理解して、メッセージを受け取りました。
筝曲部(お琴を弾く部)で活動する高校生たちが、全国を目指す物語。
演奏や練習を通して周りの人々、自分自身と向き合っていく、青春漫画です。
作者はアミューさんで、2012年からジャンプスクエア(集英社)で連載中。
悩んで考えた分、厚く、深く響く音
部長一人から始めた時瀬高校・筝曲部。
元不良のチカ君や、家元の娘・鳳月さとわちゃんが加わり、その仲間と共に全国を目指す部となりました。
部活顧問の涼香先生(男)が、部員の技術底上げのため、ある人を招き入れます。
鳳月会(さとわちゃんのお母さんの会)に出入りしている、堂島先生(女)です。彼女はコンクールで1位を取った実力者でした。
11巻は、ある思惑と葛藤を抱いた堂島先生が、部員たちと打ち解けるところから始まります。
部員たちと練習をするうちに、お琴や自分の葛藤と向き合うことが、何かを堂島先生は理解します。
そこに涼香先生が現れ、堂島先生とさとわちゃんにお琴を「合わせる」ように言います。
二人の演奏を聞いて、部員は「合奏って心を交わすこと」だ、と理解しました。
そこで、涼香先生が以下のように部員に言います;
"(心を交わすことは)お前らの得意分野だろ?(中略)ただ合わせようとすんな。曲全体をしっかり見ろ。流れを理解しろ。流れの中で自分の音がどう周りと絡むのか、自分の音の意味と役割を考えろ。悩んで、考えて、ひたすら向き合え。そうした分、お前らの音は厚く、深く、響く"※この音とまれ!(集英社)11巻、34ページより涼香先生の文章のみ引用
時々光る音とは
全国を目指すため、才能あふれるさとわちゃんに少しでも近づくため、主人公のチカ君は、一人ガムシャラに練習をし始めます。
無茶をしているチカ君を心配し、部長がチカ君を気遣って練習を減らし休むように言います。
そこで、部長はチカ君が2年生の部長のことを思って全国を目指していたことを知ります。もし今回全国に行けない場合、2年生の部長に次の機会はもうない。そのため、チカ君は練習して上手くなり、部長を全国大会に連れていきたい、と思っていたのです。
「練習しないと上手くなれない」というチカ君に、部長が言います;
"僕さぁ、前から気になってたことがあって。久遠君(チカ君)の音のことで。久遠君の音ってたまに光るんだ。(中略)すごく優しく、あったかく光る。ずっとあのとが何なのか、不思議に思ってたんだけど。ようやく分かった気がする。あの音は久遠君の心そのものだ" ※この音とまれ!(集英社)11巻、94ページより涼香先生の文章のみ引用
「大事なのは全国に行くことじゃない」
いよいよ全国大会への切符を決める、県代表予選大会を迎えます(13巻)。
ライバル校による圧巻の演奏を聞いた後、出番の前に緊張する部員に向かって、涼香先生が以下の一言を掛けました;
"お前らわすれんなよ。大事なのは全国に行くことじゃない。"どうして全国に行きたいか"だ”※この音とまれ!(集英社)13巻、115ページより涼香先生の文章のみ引用
J.D.サリンジャーの映画で、恩師のウィットが言った、「書きたい理由を、自分の物語にする」という件と繋がった一文でした。
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