土日出版流!書籍の作り方
今回は土日出版がどのように書籍の企画や作成をしているのかを紹介したいと思います。過去に携わった書籍も同じ手順で作成しております。
『土日出版流の書籍の作り方』とタイトルを付けましたが、これは書籍に限らず、一般的な仕事の場でも通用すると考えます。ご参考になれば幸いです。
詳細を説明する前にざっと手順を紹介すると次のようになります。
1.テーマ・難易度・範囲を決める
2.ペルソナを作成する
3.台割を作成する
4.想定レビューを作成する
5.原稿を作成する
それでは、それぞれ解説していきます。
1.テーマ・難易度・範囲を決める
「テーマが決まらないと本は書けないだろ!当たり前じゃん!」という指摘もあるかもしれません。しかし、ここで考えていただきたいのは「本を書くテーマが適切な市場規模であるか」を見極めるためにテーマを設定します。下図はビジネス書をテーマにした例です。
ビジネスパーソン全員に当てはまる書籍は市場規模が広いです。しかし、特定の職種に絞ったテーマであれば、その職種の人口が市場規模を左右します。さらにその職種の中での特定技術であれば、さらに市場規模は狭まります。
難易度も同じです。入門書などの難易度の低いものはニーズが広く市場規模は大きいですが、難易度の高い本は市場規模を狭めます。
範囲はテーマに対して、網羅的に説明するか、局所的に取り上げるかを検討します。これも市場規模を検討する上で重要です。例を挙げると、料理をテーマに採用した場合、その本の中で材料の切り方(乱切り・短冊切り)まで扱うのか、オリーブオイルの種類や特徴まで言及するのかなど、カバーする範囲を決め、何を扱い、何を切り捨てるかを検討します。
この【テーマ・難易度・範囲】が丁度よいバランスを保てるか、有効な市場規模があるのかを検討します。この設定の上限によって、ボリュームをコントロールするようなイメージです。
2.ペルソナを作成する
今まで関わった本には、必ず1人のペルソナがいます。「最初の1冊を誰に届け、どのように広がるのか」を自分たちでイメージ出来なければ、その本は出しても売れないと考えます。
仕事の説明書では下図のようなペルソナを作成しました。(企画書抜粋)
また、この時に、このペルソナは「何を知っていて、何を知らないのか」を定義し、このペルソナに対して、1段ずつ階段を登らせるにはどのようにすればいいかを考えます。
この時に【触れる内容・触れない内容(=範囲)】や【切り捨てるペルソナ】を同時に検討します。この段階で無理があると感じたら、手順1に戻ります。
3.台割を作成する
台割とは「章・節」「章・節・項」「部・章・節・項」に分けた目次を作るイメージです。
どのような構成にすれば、手順2で設定したペルソナを1段ずつ階段が上がれるのか。また、手順1で設定した【テーマ・難易度・範囲】に沿っているか、変更があるかを確認や修正をしながら作成していきます。
4.想定レビューを作成する
台割を作成しても、まだ原稿を作成しません。次にやることは、Amazonやその他サイトでどのようなレビューをされるか、またはされたいかを書きます。フォーマットは極めて簡単です。
扱う【テーマ・難易度・範囲】に対して、【ペルソナ】が【内容(台割)】を見て、どのように評価するかを検討します。「このようなレビューが集まる内容にしたい」という意識合わせだけでなく、「今の構成ではこのような批判的な内容が投稿されるかもしれない」という最低評価のレビューも含め、★1〜★5まで想定されるものを全て書き連ねます。
当然、自分で★5を付けれなければ、その前の手順に戻って構成を考え直します。また、★1のような内容が投稿されないようには、どのようにすべきかを検討し、台割に反映します。
土日出版ではこれを「Amazonレビュー駆動執筆」と呼んでいます。
5.原稿を作成する
あとは、ひらすら原稿を書き進めます。今までは共著者や編集者と一緒に編集作業ができるように、Googleドキュメント上で作業を進めています。Googleドキュメントであれば、履歴も自動的に管理され、コメント機能、提案機能があり、共同執筆には最適です。
提案に対して、意見を残すこともでき、問題なければ「チェックボタン」をクリックするだけで本文に反映されます。
今後も特に良いツールがなければ、単著であってもGoogleドキュメントを使用すると思います。
このように原稿を作成していきますが手順2で定義したペルソナが「これでは1段ずつ階段を登らせることが出来ない!この前提が不足している!」と感じたら、手順3の台割を修正します。
また、いくつかの「節」や「章」が出来たら、手順4で書いた「想定レビューに沿っているか。★5は貰えるのか。今のレベルでは★4までしかもらえない…」など自問自答して、★5を貰えるように、本文を修正します。
まとめ
今回紹介した手順は下記の通りですが、これを順番に行うのではなく、作業をしながら逆戻りしたり、見直したりと、このサイクルをグルグル回して、完成形に近づけるというアプローチで執筆しています。
マーケティングの経験を活かし、市場規模と読者を意識して本を作るよう心がけています。また、元々のキャリアはエンジニアであるため、リーン開発的なアプローチを織り交ぜたのが、今回の「土日出版流!書籍の作り方」なのです。
で、終わろうとしたのですが、やっぱりもう一言、二言だけ…。
冒頭にもお伝えしましたが、これは本の作成に限った話で終わらせたくはありません。
商品の市場規模を見極め、どのようなスタンスを取り、どのように評価を受けるか(=購入されるか)を意識する点はどの商品開発においても共通だと考えます。最後まで読んでくださった方のお仕事に何らかのヒントを与えることが出来たら幸いです。ありがとうございました。
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