虹を這う。

あなたは七色が不揃いな虹のような人だった。赤がない日もあれば、紫がない日もあった。私はいつも不安に駆られた。すぐに立ち消えてしまうのに、100パーセントのあなたを見つけることができなくて。私の目が悪いのかも知れない。そういう運命なのかも知れない。

あなたはいつも唐突に私の前に現れ、忽然と姿を消した。私はその度に希った。あなたはまだ思い出になっていない、見えざる手が私をあなたの元へ誘ってくれるはずだ、と。しかし、虹を見ることさえも難しいのに……。私は虹を見る度に、波打つ諦念に飲み込まれそうになった。100パーセントのあなたの前に立てるのは、きっと私ではないのだ。

それでも、私はあなたの人生の登場人物でいいと思っている。私は虹を見る度に、覚悟する。この虹を這ってでも、私はまたあなたの元へ向かうのだ。

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