入魂。

道に女性の肉体が落ちていた。それは抜け殻であった。そこに魂は不在で、多くの人の水晶体にその姿は映っていなかった。辛うじて確認できた者も、見なかったふりをした。それを引き受けるには相応のリスクがあったし、面倒事に巻き込まれたいと思って生きる人がほとんどいないのにも無理はない。しかし、私は生粋の数寄者であるからその肉体を抱きかかえた。そうしてもなお、その肉体の存在に気付く人は少なかった。

私は肉体を家へと持ち帰ると、風呂場にそれを寝かせ、隈なく冷水で洗った。そして丹寧に全身を剃毛し、熱い湯船に30分ほど浸からせた。確認すると、何とか受容体になりそうである。湯船から出し、水滴の一滴も残らず拭き取る。私は無垢な肉体をもう一度抱き抱え、ソファーの上に仰向けに寝かせた。準備は完了である。

私は棍棒を振り上げ、勢いよくその肉体に振り下ろした。肉体をひしゃげ、骨の歪む感触が両手に走る。しかしここでやめては、肉体を傷つけただけだ。魂が叫ぶまで、私はこれを繰り返さなければならない。振り下ろす、振り下ろす、振り下ろす……。


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