喰心人。

食虫草
- 昆虫や小動物をとらえ、消化、吸収して栄養をとる植物の一群


A「彼は波止場のような人でした。航海に疲れた船人がしばしの閑暇を過ごす、慈しみ深い波止場。沢山の船がその波止場に訪れました。導かれていたと思うけれども、もしかしたら誘き寄せられていたのかもしれません。でも、彼はとても美しかった。それだけは確かです」

B「私は彼を許せない。話したくもない。終わり」

C「私は彼と半年間交際をしました。結局、私が彼に酷く依存してしまい……でも、彼の魔性の前で平気でいられる方がおかしいと思います……それで、彼の方かは姿を消しました。彼は芸術的なまでに跡を濁さない鳥でした」

D「彼の言葉を思い出します。〝ドーナッツはその穴がドーナッツたらしめている。心に穴が空いても、そこに意味を付与すればいい〟と。構造としては皮肉なものだけど、私は彼に空けられた穴に、彼の言葉から意味を付与しています。素敵な思い出ですね」




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