横暴。

機嫌の悪い天使は、僕から睡眠を奪った。

「そろそろ返していただけませんか?」

身体は睡眠が必要不可欠であるから、この頃はずっと満身創痍だ。

「うるせえ、俺のやることに口出しすんな」

天使は口が悪く、正直苦手な存在だった。しかし、睡眠を返してもらわないと死んでしまうから、我慢して頭を下げ続ける他がない。

「お願いします。お布施の方を弾ませますので……」

「そりゃあいい。じゃあ半分くらいは返してやる」

その夜僕は4時間の睡眠を摂ることができた。寝起きは動くことができないくらい気怠いし、頭も冴えなかったけれど、眠らないよりは数段ましだ。しかし、天使に賄賂を送らなければいけないとは、世知辛い世の中である。

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