法則。

久方ぶりに会う友を見て、僕は自分が歳をとっていることをようやく自覚する。

代わり映えのしない毎日を過ごしているけれども、時間は当たり前に不可逆に流れている。これからも代わり映えのない毎日を過ごすだろうけれども、その分だけ歳をとる。僕の13歳の頃にほ完成していた筋骨も、縛り上げられたチャーシューみたいな脳みそも、1秒毎に老いていく。それは繰り返しでなく、カウントダウンなのだ。毎分毎秒、死へ向かって時間の流れに乗る。コンパスがなくても、帆を張らなくても、簡単に進んでしまう。抗うこともできないし、逃げることもできない。人間の力が及ばない規則的な現象を、人は物理法則と呼ぶ。

友は歳を取っていた。鏡に映る僕は10年くらいさした変化がないが、そこには確かな経過があるのだ。でも、それでいいのだ。永遠に勝る苦しみは、この世に存在しないと思うし。

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