クロニクル嘔吐。

僕の人生には、嘔吐をした日か嘔吐をしなかった日の二種類しか存在しない。後者の方がほとんどではあるが、前者の方が印象的だ。自分が溶けだしていくやるせなさや、嘔吐をするにいたる過程に思いを馳せるからなのかも知れない。

今朝の嘔吐は、これ迄の中で最もアバンギャルドな装いを呈していた。例に漏れず、カバの宴みたいにアルコールを摂取した次の日だったから、目覚めた瞬間には宿酔が全身を包んでいた。しかし、嘔吐をするまでの倦怠感ではなかった。珈琲で中和してしばらくすれば、やり過ごせる程度のものであった。

それなのに僕は、まるで飢えた乞食のように、目に映る食材を貪り始めた。そんなことをすれば、嘔吐をしてしまうのは自明であったのに。僕は誰に強制されるでもなく、食べては吐く行為を繰り返した。僕が『トゥルーマン・ショー』の主人公であったら、きっと考察が沸きたっていただろう。

なぜ僕が嘔吐をする運命を手繰り寄せるような行為をしたのかは、僕にだって分からない。運命とはそもそもそういうものなのかもしれないけれど。

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