チヂミバースデイ。
彼女は大きくて厚いチヂミに、ローソクを20本挿した。
僕と彼女は、彼の誕生日を祝うサプライズの準備をしていた。チヂミを提案したのは彼女の方からだ。
「折角だから、チヂミにしましょう」
「チヂミ?」
「△△は海鮮と、辛いものが好きだから」
「しかし、誕生日には不向きじゃないかな」
「そんなことはないわ。チヂミもホールケーキもまんまるよ」
彼女はチヂミを作り慣れているらしく、テキパキと具材を切り揃えた。ニラに大根、そして人参をみじん切りして、ボウルに入れた。潰した一丁の豆腐に卵を二個。片栗粉と酒とみりんを目分量で入れて、鶏ガラを少々に唐辛子を三本。最後に、冷凍の海鮮ミックスを入れて、こんがりと焼いた。チヂミ職人みたいな手際と出来映えだった。
「これなら間違いないね」
「おめでとう!」「おめでとう!」
「これは何?」
「辛い海鮮チヂミよ」
彼は照れ笑いを浮かべて、ローソクの火を吹き消した。
「それは、予想外だね」
僕達は笑い合って、チヂミを食べた。足りなくなったので、彼女はもう3枚のチヂミを焼いた。
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